![](https://wedge.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/600wm/img_d5cfbc84f41ff64c28980411367d006551653.jpg)
パリ五輪のビーチバレーボール男子は28日、1次リーグのオランダ対イタリア戦が行われた。オランダからは、かつて未成年に対する強姦罪で服役した経験のある選手が参加しており、観客からブーイングの声が上がった。
ステフェン・ファンデフェルデ選手(29)は2014年8月に英ミルトン・キーンズで当時12歳のイギリス人少女を、相手の年齢を知ったうえで強姦した罪3件に問われた。イギリスの法廷で2016年2月に罪を認め、同年3月に禁錮4年を言い渡された。イギリスで12カ月服役したのち、オランダに送還されると、1カ月の服役を経て釈放され、今年6月に代表選手に選ばれた。
ファンデフェルデ選手はペアのマチュー・インメルス選手と共に世界ランキング10位につけているが、エッフェル塔スタジアムで行われたこの日の試合では、アレックス・ランギエリ選手とアドリアン・カランブラ選手のイタリア(25位)に、2-1で敗れた。
会場では、オランダ代表2人が登場すると、歓声のほかに一部からブーイングの声が出た。また試合開始にファンデフェルデ選手が個人として紹介された時も、拍手のほかにブーイングが上がった。
両国の選手は試合前後に握手を交わした。
インターネットでは反対署名も
インターネット上では、ファンデフェルデ選手をオリンピックから除外するよう求める署名活動が行われ、第1試合前に9万筆を集めた。
同選手の代表選出には、女性の権利団体やスポーツの安全を支援する団体から怒りの声が上がっている。
会場で取材したBBCスポーツのローラ・スコット記者によると、ドイツやイギリス、アイルランドから来たビーチバレーのファンからは、同選手は出場するべきではないと言う声が聞かれた。
一方、同記者が話したオランダ人のファンはいずれも、この件について話したくないか、ファンデフェルデ選手を応援していると答えた。事件自体を知らないと言うファンもいたという。
ペアを組んでいるインメルス選手は試合後、ファンデフェルデ選手の出場は正しいことだと語った。
「私たちはこの件について1度話した。この3年間、予選を勝ち抜くためにすべてを捧げてきたから、この舞台を楽しみたかった」
「自分にとって彼は良い人物だし、2年間一緒にプレーしたけれど、何もなかった。(彼の出場を)問題にする人がいるのは、五輪が大きな大会だからだ」
ファンデフェルデ選手は五輪期間中、選手村には滞在せず、試合後のメディア対応も行わない。
同選手は過去にオランダメディアの取材で、「過去を覆すことはできないから、その影響を受け入れなくてはならない。人生最大の過ちだった」と語っている。
五輪委などの見解は
国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪代表の選出は、各国の五輪委員会に委ねられているとしている。
ファンデフェルデ選手は2017年に試合に復帰した。オランダの五輪委は、同選手は判決後、同国のバレーボール連盟が規定する出場復帰のガイドラインを満たしたと説明している。
また、同選手が「専門家による治療プログラムを受けた後」に復帰したと述べ、「彼は最も厳しいリスク評価基準や、検査、デューデリジェンス(適正評価)を満たしている。専門家は再犯のリスクはないと明言した」とした。
(英語記事 Convicted rapist Van de Velde booed on Olympic debut / Rapist Steven Van de Velde's remarks condemned by NSPCC)