2024年7月29日(月)

BBC News

2024年7月29日

米体操女子のシモーン・バイルス(27)が、オリンピックの舞台に戻って来た。3年前の東京大会では「心の健康」を優先するため途中棄権したが、28日の予選ではまばゆい輝きを放ち、ベストな状態に戻っていることを示した。

パリ・オリンピック(五輪)は第3日の28日、体操女子の予選が行われ、バイルスは個人総合で合計59.566点で首位に立ち、決勝進出を決めた。

バイルスはこれまでに、世界選手権とオリンピックで合わせて37個のメダルを獲得している。

2021年の東京大会では最大6個の金メダルを獲得するとみられていたが、体操選手が「ツイスティーズ」と呼ぶ、一種のメンタルブロック(物事を否定的にとらえることで行動や考えが抑制されてしまうこと)の状態に苦しみ、途中棄権した。

それでも、約2年間の休養を経て競技に復帰し、パリ五輪に照準を合わせてきた。

バイルスは復帰後の2023年世界選手権で複数のメダルを獲得。新技を披露したり、トレーニングでは好調ぶりをみせたりしていた。

個人総合予選、首位で決勝進出

ベルシー・アリーナでの予選に登場したバイルスは、平均台でアクロバティックな演技を自信たっぷりに披露。複雑なひねりなどを成功させ、14.733点をたたき出した。

ゆかでは自身の名前の付いた5つの技のうちの1つ、「後方抱え込み2回宙返り3回ひねり」(バイルス2)を実施。指定エリアから足が出るミスはあったものの、高難度の技を複数決めて14.600点を獲得した。

跳馬では2023年世界選手権で実施した新技「バイルス2」を披露し、15.800点だった。

段違い平行棒では、予定していた新技は使わなかったものの、団体と個人総合の決勝で試す可能性はある。

左ふくらはぎに違和感を感じている様子もあったが、それでも個人総合で首位に立ち、8月1日の決勝に進出した。

コーチのセシール・ランディ氏は、「ふくらはぎに少し痛みがあるだけ」だと、記者団に語った。

バイルスは個人総合のほか、個人の跳馬、ゆか、平均台、そして団体でも決勝進出を決め、最大5個のメダルを獲得する可能性が出てきた。

パリ五輪の「究極のアスリート」

バイルスの活躍を見ようと、競技会場には俳優トム・クルーズ氏や歌手アリアナ・グランデ氏など、著名人が次々と訪れている。

しかし、アメリカ代表チームは今週、バイルスにプレッシャーをかけないようにしている。バイルスは記者団との会話を避けて予選会場を後にした。

「(競技に)戻って来ただけで、彼女は異なる結末を描けてしまう。信じられないことだ」と、BBCのマット・ベイカー司会者は述べた。

「私から見れば、彼女は今大会の究極のアスリートだ。スコアは出続けるだろう。シモーン・バイルスが、居るべき場所に戻って来たのだから」

イギリスの元体操選手ルイス・スミス氏は、「彼女は、自分が体操で世界一である理由を、まさに証明している。これほどのプレッシャーにも、彼女は動じていない」と付け加えた。

「彼女は驚異的だ。かなり調子も良さそうだ。まさに、体操界のウサイン・ボルトだ」

イギリス代表として28日の予選に出場したベッキー・ダウニーは、「私たちはおそらく今後しばらくの間、シモーンのような選手を目にすることはないだろう。彼女は本当にエキサイティングなものを、この競技にもたらしている」と記者団に述べた。

「彼女が戻ってくるなんて信じられない」

(英語記事 Biles dazzles on Olympic gymnastics return

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2lk7egqvwqo


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