2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年7月29日

 7月15日、トランプ前大統領は副大統領候補に上院議員 J.D.バンスを指名したが、2024年7月15日付のワシントン・ポスト紙社説は、彼の指名は共和党の正統性からの重要な転換を画するものだと論じている。

米国共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏(右)と、共和党副大統領候補のJ.D.バンス氏。2人の間に〝絆〟はあるのか(Anna Moneymaker/gettyimages)

 トランプがオハイオ州選出の J.D.バンス上院議員を副大統領候補に選んだことは、共和党の歴史における時代を画する瞬間である。1952 年の共和党大会では、第二次世界大戦後の外交における米国の役割が大きな争点となり、アイゼンハワーが、孤立主義者のオハイオのロバート・タフトを破った。

 1930年代の「アメリカ第一主義」運動が失敗した後、保守は米国の必要不可欠な指導力を認めたのである70年後の今日、新たな「アメリカ第一主義」運動が共和党を支配している。 

 共和党は、ウクライナ支援のみならず、海外における民主主義の促進にも懐疑的な候補を支持することにより、戦後の伝統と決別した。トランプ・バンスの組み合わせ候補は、ポピュリズムであり孤立主義である。

 「ウクライナがどうなろうと自分は一向に構わない」と2022年2月にバンスは述べた。彼は、対ロシア制裁を押し返そうとし、上院で軍事支援を阻止しようと画策し、ミュンヘン安保会議に出席してウクライナを批判することすらした。

 バンスは才能に恵まれ賢い。39歳の彼は2年前に政府の経験もないまま上院議員に選ばれた。

 彼は海兵隊に所属しイラクに派遣された。オハイオ州立大学とイエール法学院を卒業し、2006年には麻薬中毒の母親と衰退する鉄鋼の町で育った経験を回想する「Hillbilly Elegy」を書いた。


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