2024年8月2日(金)

BBC News

2024年8月2日

体操女子のアメリカのシモーン・バイルスが1日、パリ・オリンピック(五輪)の個人総合で優勝し、今大会2個目の金メダルを手にした。バイルスが獲得した五輪金メダルは、これで通算6個となった。

バイルスは、2016年リオデジャネイロ五輪の個人総合で優勝。前回の東京五輪でも同種目の優勝候補だったが、メンタルヘルスの問題から決勝を棄権した

27歳のバイルスは今回の優勝で、1952年以降の五輪において個人総合で優勝した最年長選手となった。また、連続しない大会で2度以上、個人総合優勝を果たした最初の選手にもなった。

こうした記録は、10代の選手が圧倒的に多い体操で、バイルスがいかに長期間、活躍し続けているかを示している。五輪の過去12大会で女子個人総合を制したのは、全員10代だった。1972年ミュンヘン五輪で優勝した、最後の「非10代」だったリュドミラ・ツリシチェワさんも、金メダル獲得の数週間前に20歳になったばかりだった。

この夜、銀メダルはブラジルのレベッカ・アンドラーデ、銅メダルは東京五輪からの連覇を狙ったアメリカのスニサ・リーが、それぞれ獲得した。

GOAT(史上最強)と呼ばれて

試合後、バイルスは優勝を祝いながら、自分が「GOAT」(greatest of all time=史上最強。英語で「ヤギ」と同じつづり)だと疑う余地がないかのように、ヤギのきらびやかなネックレスを身につけた。

そして、「いつもGOATと呼ばれるので、それを作ってもらったら特別になると思った」、「嫌う人はひどく嫌うが、私はますます好きだ。私の特別な一部としてここにある」と説明した。

また、「(選手)村にはヤギのぬいぐるみがある。『あなたなら行ける、あなたならできる。あなたは前にやったことがある。だから、さあ行こう』と思わせてくれる」と話した。

一気に逆転、最後は大差

バイルスはこの日、最初の跳馬で、女子体操最高難度の技「バイルス2」を決めてトップに立った。しかし、続く段違い平行棒で珍しくミスをし、順位を下げた。

3種目目の平均台では、難易度の高い技を次々と成功させる。14.566をたたき出し、観客を大いに沸かせた。ここで一気に逆転。2位のアンドラーデに0.166の点差をつけて再び首位に立った。

最終種目のゆかでは最後の演者に。自身がもつ最高の技のいくつかを完璧に演技し、合計点を59.131として、金メダルを決めた。銀メダルのアンドラーデには1.199の大差をつけた。

東京五輪の経験を乗り越えて

2日前にアメリカの団体優勝に貢献したバイルスは、この夜は個人として世界最高の体操選手の座を再び目指した。

3年前の東京五輪で、期待の重圧、新型コロナウイルスの流行を受けた家族からの隔離、体操選手が「ツイスティーズ」と呼ぶメンタルブロック(物事を否定的にとらえることで行動や考えが抑制されてしまうこと)に苦しみ、バイルスがいくつかの決勝を棄権したことはよく知られている。

2年間の休養を経て昨年夏に競技に復帰したバイルスは、過去3年間、毎週セラピーを受けていたと記者団に話した。

そして、この夜の優勝について、「私にとってはものすごく大きな意味がある」と述べた。

「自分の演技と、この3年間、復帰のために精神的にも肉体的にも闘ってきたことをとても誇りに思う」

一方で、金メダルへの道のりは決して楽なものではなかったとし、「これほどストレスを感じたことはなかった」と述べた。そして、「ありがとうレベッカ」と、準優勝のアンドラーデに感謝した。

「あんなに親しい選手はいない。間違いなく私をピリッとさせ、自分の中の最高のアスリートを引き出してくれた」

バイルスはこれで、世界選手権と五輪を合わせた獲得メダル数を39個に増やした。今大会はまだ、種目別の跳馬(3日)と平均台、ゆか(ともに5日)の決勝に出場予定で、記録をさらに伸ばす可能性がある。

(英語記事 Biles wins all-around title for sixth Olympic gold

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cp080yy3g9do


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