2024年8月2日(金)

BBC News

2024年8月2日

英イングランド北西部サウスポートのダンス教室で少女3人が刃物で殺害された事件で、殺人罪などで起訴された17歳の少年の氏名が1日、公表された。裁判所が認めた。

少年はアクセル・ムガンワ・ルダクバナ被告。これまで年齢を理由に、氏名は公表されていなかった。ウェールズ・カーディフの生まれで、ランカシャーのバンクス村に居住していた。

リヴァプール裁判所で公判前手続きなどを取り仕切るアンドリュー・メナリー記録裁判官はこの日、報道機関の要請を受けて、被告少年の氏名公表を認める決定を出した。

被告は来週18歳になる。裁判官は決定に当たり、被告の身元について「誤った情報」が広がっていることに留意したと述べた。

裁判官はまた、「この段階で、万全な報道を阻止し続ければ、悪意ある者たちが現実と無縁な事実と異なる情報を拡散し続けることを許してしまう、不利益を生む」と説明。

今回の決定は「例外的」ではあるものの、「今回の裁判について万全な報道を許す方が、明らかに公共の利益にかなう」とした。

検察側は、被告の氏名公表に反対。被告は「自閉スペクトラム症と診断」されており、「一定期間、家を出ようとせず、家族とコミュニケーションを取ろうともしなかった」と主張した。

7月29日の事件では、子ども8人と大人2人も重傷を負った。そのため被告は、10件の殺人未遂罪にも問われている。また、曲がったキッチンナイフを所持していた罪でも起訴されている。

被告少年は発言せず

被告はこの日午前9時ごろ、リヴァプールの未成年向けの裁判所に、刑務施設のワゴン車で到着。多数の警官に付き添われて出廷した。

法廷では、詰めかけた記者らにちらりと目を向けると、着席するようジェイムズ・ハットン地裁判事から指示された。

被告は、警察が支給したグレーの服を着ていた。5分間続いた審理の間、スウェットシャツを引き上げて鼻から下を覆い、頭を下げていた。発言することはなかった。

この日の法廷には、被害者の家族も、被告の家族もいなかった。

被告は閉廷後、未成年者向けの施設で再び拘束された。

次回の出廷は10月25日。公判前整理の審理が開かれる。

サウスポートでは7月30日、抗議行動者らが警官やモスク(イスラム教寺院)に向かって物を投げつけるなどし、暴動に発展。警官53人が負傷し、男性5人が逮捕された。うち1人はのちに、ナイフを所持していたとして訴追された。

こうしたことから、1日夜には前夜に続き、暴力を最小限に抑えることを目的に、警察の職務質問の権限が強化された。現地のマージーサイド警察は、2日午後6時まで続くとした。

この事件では、ビービー・キングさん(6)、エルシー・ドット・スタンコムさん(7)、アリス・ダシルヴァ・アギアールさん(9)の3人の少女が殺害された。

オルダー・ヘイ小児病院は1日、治療をしていた子ども2人が退院したと明らかにした。また、他の子ども5人の治療が続いており、容体は全員安定しているとした。

イングランド各地では7月31日、暴力的な抗議が発生するなどし、ロンドン中心部では100人以上が逮捕された。

キア・スターマー首相は、官邸で警察トップと協議し、「暴力的な騒動」を受けて「行動を起こす」と述べた。その後、テレビ演説で、こうした出来事に対処するとして、全国の警察が協力を強化する計画を打ち出した。

首相は騒動の拡大は「心ない少数者らの行動」によるものだとし、「極右の憎悪」を非難。「これらの暴漢は地域から地域へと移動する。同じように動くことができる警察の対応が必要だ」と述べた。

(英語記事 Teen, 17, accused of Southport murders named

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cd171vz0px0o


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