2024年12月22日(日)

勝負の分かれ目

2024年8月3日

 パリオリンピック(五輪)は開催まっただ中になる。日本は8月1日までの競技を終えた時点で金メダル獲得数が8個で世界3位タイと、すっかりスポーツ大国の仲間入りを果たした。

 4年に一度の大舞台は、アスリートにとって大きな重圧もかかり、ときに残酷な結果を突きつけられることもある。SNS上では、「感動をありがとう」などと共感する人たちがいる一方で、期待に応えられなかったアスリートらに、心ない言葉の暴力を浴びせる誹謗中傷の投稿が後を絶たない。積み重ねた努力が報われず、敗戦を受け止めなければならないアスリートをさらに鞭打つ蛮行は許されない。

敗退し、悔しさで泣き崩れる阿部詩選手(中央)。アスリートが懸命に戦った結果の姿を批判してはならない(AP/アフロ)

阿部詩選手の姿は「見苦しい」のか?

 「沢山のサポート、応援ありがとうございました。心の底から感謝の気持ちでいっぱいです!日本代表として、日本という素晴らしい国を背負い戦えたことを誇りに思います。情けない姿を見せてしまい、申し訳ございませんでした(略)」

 柔道女子52キロ級で2連覇が懸かっていた日本代表の阿部詩選手(パーク24)は7月30日、自身のインスタグラムでこんな投稿をした。

 同28日の競技では、2回戦で世界ランキング1位のディヨラ・ケルディヨロワ選手(ウズベキスタン)に一本負け。直後に畳に突っ伏して大号泣すると、その後もコーチにしがみついて泣き崩れた。冒頭の投稿の背景には、次戦の進行が止まったことや、人間としての未熟さを指摘する声が、SNS上や識者のコメントから挙がったことがあったとみられる。

 柔道に限らず、スポーツの世界には、勝っても派手に喜ばず、敗者も結果を粛々と受け止めることが美徳とされる一面が確かにある。阿部詩選手の言動に違和感が生じた人がいたのかもしれないが、それが批判の対象となることには、疑問符が付く。


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