2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2009年5月6日

正確な歴史事実を韓国に突きつけよ

 それでは東海の場合、どのような歴史的根拠があったのだろうか。

 韓国側は、12世紀成立の『三国史記』(高句麗本紀)に「東海」の文字があるため、2000年前から日本海を東海と呼称していた証拠とした。だがその東海は、日本海ではない。15世紀の『龍飛御天歌』に、「四海の外、皆また海有り。東海の別に渤海あり。故に東海、渤海と共称す」とあるように、中国の黄海や渤海を指していた。19世紀末、朝鮮の高宗が「我国は東海の東にあり」としたのも、そのためである。

 さらに韓国側は、『東国輿地勝覧』の「八道総図」に東海の文字があるため、日本海を東海と呼称した根拠とした。だがこの東海は、『東国輿地勝覧』の跋文に「総図は則ち祀典載す所」とあるように、海濤を祀る神祠を描いたもので、東海は沿海部を指していた。それは『東国輿地勝覧』の「江原道図」等で、遠海を「東抵大海」(東、大海に抵(いた)る)と明記していることからも言える。東海は沿海部の呼称で、日本海は大海としたのである。韓国の東北アジア歴史財団や韓国海洋研究所等はこの「東抵大海」を固有名詞とし、「東抵大海」を東海の別称とするが、それは漢文が読めていないからである。

 歴史的に、朝鮮半島には二つの東海があった。中国の渤海や黄海を指す場合と、朝鮮半島の東海岸の沿海部である。その東海を現在の日本海とするのは、牽強付会である。

 ところが歴史的根拠がないまま竹島の侵略を続ける韓国側は、抗議する日本に対しては侵略国家と指弾し、日本海を東海とすべく国際世論工作に余念がない。それも東北アジア歴史財団は日本の市民団体や在日韓国人と結び、竹島の領有権を主張する者を「極右勢力」と決め付け、その排除を使命としている。

 この現状を打破するには、どうしたらよいのか。多くの人は領土問題を考える超党派の議連や省庁を横断した組織を考える。だが半世紀もの間、放置された竹島問題が動き、韓国側が呼応したのは、島根県が国会議員への陳情や署名活動をしたからではない。政府の制止を拒み、「竹島の日」条例を制定したからだ。それも島根県は竹島問題研究会を発足させ、正確な歴史事実を基に、韓国側の反論には反駁してきた。あとはその歴史事実を、韓国側の有識者に突きつける度量が日本の政治家にあるかどうかだ。

 だがその前に、迂遠だが、領土問題を解決できない日本の欠陥を改めるべく、国民一人ひとりがこれらの問題に関心を持つことだ。

◆「WEDGE」2009年5月号より

 

 

 
 

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