日本海を東海へ 韓国の国際世論工作
2006年4月、韓国政府は20隻余の艦艇を朝鮮半島の東海岸に集結させ、臨戦態勢を整えた。同年6月、ドイツで開催される国際会議で、韓国政府が竹島周辺の海底地名を韓国式に改めるよう提案するとの情報を得た日本が、海上保安庁の調査船を鳥取県沖に派遣したため、韓国側が実力阻止を図ったのである。
(写真提供:AP Image)
韓国側はなぜ、海底地名を韓国式に変えようとしたのか。その背景にあったのが、竹島問題と日本海呼称問題である。竹島は1954年9月以来、韓国側によって武力占拠されているが、94年の国連海洋法条約の発効で改めて帰属問題が浮上したからである。国連海洋法条約では、領土から200海里の排他的経済水域が認められ、中間線の画定では基点をどこに置くかが争点となるからだ。
そこで韓国政府は96年2月、竹島に接岸施設の建設を始め、日本海を韓国側の呼称である東海に改めるよう、国際水路機関や国連地名標準化会議を舞台に主張してきた。海図や地図で竹島を独島と表記し、日本海を東海とすれば国際社会が竹島を韓国領と認めたことになるというのだ。
だが韓国側の国際世論工作は、それだけではなかった。韓国には、韓国政府の支援で活動する民間団体「サイバー外交使節団(VANK)」があり、竹島問題や日本海呼称問題と深く関わってきた。そのVANKが今年の1月23日、政府機関の「東北アジア歴史財団」と提携し、3月12日には島根県と姉妹関係にあった慶尚北道とも連携して、小・中・高生を対象とした「サイバー青少年独島士官学校」を開設したのだ。
VANKが標的とするのは、竹島や日本海と表記する国連機関や海外のマスコミ、各国の航空会社等で、現にユネスコやビジネスウィーク、シンガポールエアライン等は書き換えに応じたという。VANKのサイトには、攻撃対象のアドレス(約800)が列挙され、抗議の書簡をクリックし、署名すれば英文の抗議文が送られることになっている。書き換えに応じた機関には、爆弾マークが描かれるので、青少年もゲーム感覚で参加できるのである。
一方、竹島問題や日本海呼称問題を専管する「東北アジア歴史財団」は、これまでも内外の海洋学者や地理学者、国際法学者等を集めて「東海・地名と海の名称に関する国際セミナー」を開催し、国際水路機関や国連地名標準化会議のトップを韓国に招聘しては、東海を正当とする国際世論の醸成に努めてきた。