2024年6月18日(火)

科学で斬るスポーツ

2013年12月27日

 下の図4は、ある選手の踏み切り前後動きを図示した「モーションピクチャー」だ。クラウチングから膝、股関節、腰を伸ばしていくのがよくわかる。踏み切った赤色からの3コマ目を見て欲しい。体がほぼ一直線に見える。これが一直線型。への字は上半身がもっと前に曲がっている。

 一直線型とへの字型はどこが違うのか。

 山辺さんによると、への字型は主に膝の力で踏み切る。体の大きい脚力のある選手が採用する傾向がある。空気抵抗は小さくなる一方で、揚力も小さくなってしまう。助走速度を維持し、飛行中の速度にかけるジャンプだ。

 これに対し、一直線型は、膝、股関節の力をうまく使い、上向きの揚力を獲得しようとする飛び方だ。バンクーバー五輪男子金メダリストのシモン・アマン(スイス)など体の小さい選手に向く飛び方だ。空気抵抗は大きくなり、減速するが、揚力が上がる利点がある。最初に高さを確保し、距離を伸ばそうとするジャンプだ。

 高梨は、昨シーズンまでは一直線型だったが、今年春先から「体を曲げるようになった」と言われている。当初、揚力が足りないため、着地寸前に失速するケースが目立ったが、パワートレーニングを続け、後半の失速を克服した。

 山辺さんは「股関節の伸展を抑えた踏み切りを選択するため、それ以外の膝、脚伸展に関わる筋力を強化したことが推察される。どちらの踏み切りがいいかは選手の個性。二つの飛型は、踏み切りから1秒後には同じ形に戻る。高梨は、調整力があるので、実際の五輪で、状況に応じて飛び方を変えてくるかもしれない。どういう飛び方をするのか見所の一つだろう」と語る。


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