2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月20日

 金正恩は自信を深めているに相違ない。この記事も、「冷戦時代に中ソを巧みに利用してきた北朝鮮の技巧を彷彿とさせる」と言う。北の建国以来のDNAは、今も生きている。

 今後何らかの軍事技術が見返りに移転されるだろう。7月18日、金正恩は軍事代表団を率いて訪朝したロシアのクリボルチコ国防次官と会談した。プーチンの拒否権行使により安保理対北制裁委は消滅し、新たな制裁の決定はロシアが阻止するだろう。

 目下最大の勝利者は金正恩である。しかし金正恩も経済を依存する中国を無視する訳にはいかない。最近、中国は北朝鮮労働者の帰国を北朝鮮に求めたと云われる。

最も衝撃受けた韓国の反応

 朝露同盟条約の署名に最も大きな衝撃を受けたのは、韓国である。北がミサイル等新たな技術を得れば朝鮮半島の軍事バランスに大きな影響を与える。メディアや与党は激しく反応した。
唯一の救いは、今は日米韓の安保協力が確固としていることだ。韓国の反応は三つ。
第一は、ロシアへの怒りだ。7月21日、外交部は駐韓ロシア大使を召致、抗議した。その際、ウクライナへの殺傷武器支援はしないという立場を再検討するとロシアに警告したようだ。
第二に、この時を捉えて中国との関係強化に乗り出すべきだとの強い議論が与党等の間に出ている。

 第三は、核武装論だ。しかし、韓国は23年4月の米韓拡大抑止ワシントン宣言で、拡大抑止協議開始の見返りとして、韓国は自国の核兵器を開発しないことに合意している。また、原潜保有論も出ている(6月27日朝鮮日報社説)。

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