2024年8月20日(火)

BBC News

2024年8月20日

ドナルド・トランプ前米大統領(共和党)の選挙陣営がイラン政府のために活動するハッカーの標的にされたと主張したことを受け、捜査を進めていた米連邦捜査局(FBI)と複数の連邦政府機関は19日、ハッキングの背後にイランがいたことを認める声明を発表した。

FBIと米国家情報長官室(ODNI)、米国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)などの複数機関は共同声明で、イランは「不和をあおり、民主主義的な制度への信頼を損なうため」にアメリカの選挙に介入することを選んだと指摘した。

トランプ候補の陣営は10日、内部メッセージがハッキングされたと訴え、イランの関与を公然と非難した。イラン当局はハッキングとの関連を否定した。

マイクロソフトの脅威分析センター(MTAC)によると、選挙陣営には「スピアフィッシング」メールが送られたという。「スピアフィッシング」とはこの場合、「スピア=やり」で魚を刺す釣りの手法に似て、攻撃対象の狙いを定めて、悪意あるリンクをクリックさせようとする行為。

共同声明には、「イラン人がソーシャル・エンジニアリングやそのほかの努力を通じて、(アメリカの)両政党の大統領選キャンペーンに直接アクセスできる個人に近づくことを模索していたと確信している」とある。

「窃盗や情報公開を含むこのような活動は、米選挙プロセスに影響を与えることを意図したものだ」

大統領選をめぐっては先に、イランが民主党のカマラ・ハリス候補の選挙活動にもハッキングを試みたとの報道も複数あった。今回の声明は、これを裏付けるかのような内容だった。ハリス陣営は先週、スピアフィッシング攻撃の標的になったものの、この攻撃は失敗だったと明らかにしていた。

イランの目的は

声明を発表したFBIなどは、この手口は「新しいものではない」とし、アメリカの過去の選挙でもロシアとイランがこのような手段を使っていたと指摘した。

トランプ陣営へのハッキング攻撃で何らかの情報が盗まれたのか、その場合はどういう情報が盗まれたのかは今のところ明らかになっていない。トランプ候補は、「(ハッカーは)公に入手できる情報しか得られなかった」としている。

しかし、イランの目的は明らかだと、米当局は指摘。イランは「自国の国家安全保障上の利益に影響し得るという意味で特に重視する」選挙の結果を、左右したがっているのだと、米当局は説明した。

FBIなどはまた、「(アメリカの)今回の選挙期間中に、イランの活動がますます大胆になっている」と付け加えた。

イランのハッカーに対する懸念は高まってる。

米マイクロソフトは最近、イランとつながりのある集団による「重大な影響を意図した行動が相次いでいる」ことを確認したとしている。

米グーグルによると、ジョー・バイデン大統領が7月に大統領選撤退を表明する以前、バイデン陣営はトランプ陣営と同様にイランのハッカーから狙われていたという。

(英語記事 Iran hacked Trump campaign, US intelligence confirms

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c23lgzp7v1zo


新着記事

»もっと見る