ワシントン・ポスト紙が7月29日付けで、米国の民主党の大統領候補カマラ・ハリスの外交政策についての同紙外交コラムニストのジョシュ・ロウギンによる論説‘Harris’s foreign policy doctrine is emerging – and could help her win’を掲載している。概要は次の通り。
ハリス副大統領は過去4年間、外交政策においてバイデン大統領の方針から離れる余地は極めて限られていた。しかし、ハリスは自らの世界観を示すことができれば、バイデン政権との継続性とバイデン政権がうまく対処できなかった分野での変化とを示すことができる。それによって大統領選挙で勝利する可能性を高めることができるかもしれない。
イスラエルのネタニヤフ首相の訪米は、ハリスが民主党の大統領候補となって以来、その外交姿勢を試される最初の機会となった。ハリスは政権内部において以前から、ガザにおける停戦に合意し、ガザのパレスチナ民衆の状況を改善させるようネタニヤフ首相にもっと圧力をかけるよう主張してきた。
ハリスは、ネタニヤフ首相と会談したが、イスラエルは、自衛の権利を持つとしつつも、戦争の終結を求め、ガザにおける人道状況に「深刻な懸念」を表明した。内容というよりは言い方によって、ハリスはバイデン大統領よりもイスラエルに対してより批判的な立場を注意深く作り上げた。
ミシガン州のような接戦州においては、アラブ系米国人やイスラム教徒が鍵を握っているが、彼らの忌み嫌うイスラエル政策を見直すものと期待してハリスへの支持に傾くかもしれない。ハリスは上院議員を務めていた際、サウジアラビアのイエメンでの戦争に米国が支援することを辞めさせるための法案の共同提案者となった。
2020年には、米国はサウジアラビアとの関係を根本的に再検討するべきであると述べた。これは、プログレッシブな層がかねてより求めてきた点であった。
一方、ハリスは、ウクライナ支援については、バイデン政権の方針を更に強めている。トランプとその副大統領候補であるJ. D. バンスは、対ウクライナ支援を止めることを主張しているが、ハリスの対ウクライナ政策は大きく異なる。
世論調査によれば、米国民の過半数が米国のウクライナ支援活動を支持している。ペンシルベニア州を含めて、いくつもの接戦州に数万のウクライナ系米国人が居住している。