2024年8月20日(火)

BBC News

2024年8月20日

ウクライナ当局は19日、東部ドンバス地方の主要都市ポクロフスクと周辺の村落で、子供がいる世帯の住民に避難を命じた。ロシア軍が進軍を続けているためという。一方、ウクライナ軍はロシア西部クルスク州で進軍を続けている。

ポクロフスク市軍政当局のセルヒイ・ドブリアク長官は前進するロシア軍から逃れるために住民に残された時間はせいぜい2週間だと述べた。

戦略的に重要なこの街は、ウクライナの主要な防衛拠点の一つで、東部前線におけるウクライナ部隊にとっての重要な兵站(へいたん)ハブでもある。

ドネツク州のワディム・フィラシキン州知事によると、同州ポクロフスク市には4000人近い子供を含む5万3000人以上が残っている。

当局は子供たちとその親または保護者を強制的に避難させる決定を下したと、フィラシキン州知事は述べた。

「我々の州の都市が事実上、あらゆる敵の兵器の射程圏内にある以上、避難をさせるという決定は必要であり、避けられない」

ドブリアク長官は、ポクロフスク市からの避難者数が1日500~600人に上ったとしている。基本的な行政サービスは維持されているものの、ロシア軍が迫る中、近いうちに機能しなくなるだろうと、同長官は述べた。

今回の避難命令は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が自軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃で進展が続いているとする中で出された。

ウクライナは越境攻撃で進軍続けていると

ゼレンスキー大統領は19日、ウクライナ部隊がクルスク州で1250平方キロメートル以上の領土と92の集落を掌握したと述べた。

「(ウクライナ北部)スーミ州の向こう側にあるロシアの国境地帯では、ロシア軍の駐留はほぼ排除された」と、ゼレンスキー氏はソーシャルメディアに投稿した。

「数カ月前なら、世界中の多くの人がこんなことは不可能だと、ロシアの最も厳しい『レッドライン』(越えてはならない一線)を越えたと言っただろう」と、ゼレンスキー氏は付け加えた。

ウクライナの越境攻撃の目的の一つは、ロシア軍をドンバス地方から引き離し、苦境にあるウクライナ部隊が抱えるプレッシャーを軽減することだと報じられている。

三つ目の橋破壊か、新たな浮橋設置も

ロシアの軍事ブロガーたちは19日、ウクライナ軍がクルスク州で、セイム川にかかる三つ目の橋を爆破したと主張した。ウクライナ政府は関与を主張していないが、橋が破壊されたことでロシア軍の兵站はさらに妨げられる可能性が高い。そして、ウクライナがロシアから奪った領土での支配力を固めるのに役立つだろう。

ただ、BBCヴェリファイ(検証チーム)は、セイム川に複数の浮橋が架かっているのを確認している。浮橋は恒久的な構造物がない場合に素早く建設・使用することができる。

17日に撮影された衛星画像では、クルスク州の町グルシュコヴォの近くで建設されたばかりの二つの橋が確認できる。

米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は、ロシアがウクライナ東部で「じわじわと忍び寄る前進」戦略にコミットしているように見える一方で、ウクライナのクルスク州への突然の進軍は、ウクライナ政府が「消耗戦」に少しずつ敗北していくのではなく、むしろ主導権を握って大きな進展を得ることができたことを示していると指摘した。

ISWは、ウクライナ軍がロシア領内の800平方キロメートルにわたって展開していると評価しつつ、それは必ずしも領土の支配とは一致しないと付け加えた。対照的に、ロシア軍が1月~7月までに掌握したウクライナ領土は推定約1175平方キロメートルだとしている。

(英語記事 Ukraine orders evacuation of city as Russia gains

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c049d376g4ko


新着記事

»もっと見る