2024年8月23日(金)

BBC News

2024年8月23日

11月のアメリカ大統領選に向けて19日からイリノイ州シカゴで始まった民主党の全国党大会において、パレスチナ人の演説を一部の代議員が求めて抗議していたが、党委員会はこれを退けた。

一部の民主党代議員は、ガザ地区を攻撃するイスラエルをアメリカ政府が支持することに抗議して、カマラ・ハリス副大統領への支持も控えている。この代議員たちは、大会会場になっているユナイテッド・センターの入り口前で21日夜から座り込みの抗議を始めた。

この代議員たちはパレスチナ人による演説を認めるようハリス陣営に要求し、現地時間22日午後6時までの回答を求めた。しかしその期限が過ぎても、陣営からの回答はなかったと代議員たちは明らかにした。

民主党大会の開会中、アメリカ政府のイスラエル支持に抗議するデモがシカゴ市内で連日続いている。

デモはほとんど平和的に行われているものの、20日夜にはイスラエル総領事館前に無許可で集まったデモ隊と警官隊が衝突し、56人が逮捕された。

ガザ戦争に対するバイデン政権の姿勢に抗議する党内運動を代表するレイラ・エラバド氏は、「大会が始まる前、何週間も前に私たちが要求した最低限のことを拒否するとは、民主党首脳陣によるすさまじくひどい決定だ」と批判した。

BBCはハリス陣営にコメントを求めている。

エラバド氏たち「uncommitted(支持者なし)」代議員は、今年前半の民主党予備選で、各州で選ばれた。予備選ではジョー・バイデン大統領を支持する代議員が圧倒的な数で選ばれたものの、パレスチナ支持の活動家たちが、バイデン政権に抗議するため「支持者なし」代議員を選ぶよう全国的な運動を展開。その結果、こうした「支持者なし」代議員が30人選ばれ、シカゴでの全国党大会に派遣された。各州から党大会に集まった民主党代議員は計2400人以上。

ガザ戦争への対応は民主党支持者だけでなく、議員たちの間でも異論があるものの、今週の党大会ではほとんど議論の話題にされていない。

「支持者なし」代議員たちは、党大会で演説できるパレスチナ人数人を候補として挙げ、その名簿をハリス陣営に提出したのだという。

これに対してハリス陣営は、座り込み抗議の場に数人の議員や補佐を派遣して対立を解消しようとしたものの、演説の機会提供は拒否したのだと、抗議者たちは話した。

ハリス陣営の関係者たちは抗議者たちに、大会の焦点はハリス副大統領で、副大統領は「人生で最も重要な」演説を控えているのだと話したという。

これに対して「支持者なし」代議員たちは、自分たちはもう2カ月前からパレスチナ人の登壇を陣営に要求していたのだと述べた。

「これから先、副大統領や陣営関係者との厳しい会話が必要になる。何があったのか、確認しなくてはならない」と、ミシガン州代表の「支持者なし」代議員、アッバス・アラウイエ氏は話した。

大会会場の外では大きなデモ隊が集まり、ガザ戦争に抗議を続けたが、4日間の民主党大会でガザ戦争を話題にしたのは、初日のバイデン大統領を除くとごく少数の登壇者にとどまった。

ただし、ハリス副大統領は指名受諾演説で、ガザ戦争にかなりの時間をさいて言及し、人質解放と停戦合意のためにバイデン大統領とともに尽力しているのだと言明。イスラエルの自衛権を支持し続ける一方で、「この10カ月間、ガザで起きてきたことは悲惨だ」「苦しみの規模は悲痛だ」として、「ガザの苦しみが終わり、パレスチナの人たちが尊厳と安全と自由と自決権を実現できるよう」にバイデン氏と取り組んでいるのだと述べた。

アラウィエ氏は、党大会でパレスチナ人が演説すれば、パレスチナ人の人権について民主党が「話題にせざるを得なくなる」のが目的だと説明した。

アメリカ政府のイスラエル支持を声高に批判してきた民主党のイルハン・オマル下院議員(ミネソタ州)はBBCに対して、党大会でガザ戦争がほとんど話題になっていないのは決して意外ではないと話した。

「興味深いことに、外交政策はいつも、あまり大きな話題にならない。でも私は常に、外交政策は国内政策だと考えてきた」とオマル議員は述べた。

(英語記事 Democrats deny protesters' convention request for Palestinian speaker

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c984ew8nn7lo


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