2024年10月6日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月22日

 トランプが、台湾は米国に防衛の対価を支払うべし、台湾は米国のチップ・ビジネスを盗んでいる等と発言したことにつき、2024年7月17日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は、キャスリン・ヒル特派員の解説記事を掲載している。

台湾に防衛の対価を求める米共和党大統領候補のトランプ氏(ロイター/アフロ )

 トランプ前米大統領は、台湾は米国に防衛保証の対価を支払うべきだと述べた。発言は、台湾に激震を走らせ、アジアにおける米国の同盟国やパートナーにとっての次期大統領選の重要性を浮き彫りにした。

 共和党の大統領候補トランプは、ブルームバーグのインタビューで、米軍が提供する暗黙の安全保障に言及しつつ、台湾は「われわれのチップ・ビジネスを盗んで」おり、「(米国に)防衛の費用を支払うべきだ」と述べた。台湾は武器のほとんどを米国から購入しており、米国の防衛企業にとって最大の市場の一つである。過去1年間、米国議会は軍事援助を認める法案も可決している。

 台湾の卓栄泰・行政院長(首相に相当)はこれに対し、台湾と米国は関係をさらに良い方向に発展させることを目指すと述べた。

 米国は長年にわたり、台湾の防衛を支援するという曖昧な約束をして、台湾の安全保障の事実上の守護者となってきた。中国は台湾を自国の領土と主張し、台湾が中国の支配に服することを拒否し続ければ攻撃すると脅してきた。

 台湾関係法に基づき、米国は、非平和的な手段で台湾の将来を決定しようとするいかなる努力も米国にとって重大な懸念であるとみなし、台湾に防衛兵器を提供し、台湾の安全を脅かす勢力に対抗する米国の能力を維持することを約束している。

 バイデン大統領は、米国の台湾防衛へのコミットメントを繰り返し確認し、そのためには軍を派遣するとまで述べた。しかし、トランプは、米国が台湾を中国による攻撃から守るのは「とても、とても難しい」と言った。 


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