2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月22日

 トランプは、台湾のチップ産業が米国のビジネスを犠牲にして繁栄してきたと非難した。トランプは「彼らはわれわれのチップ産業のほぼ100%を奪った。今、われわれは彼らに何十億ドルもの資金を与え、わが国で新しいチップを製造させ、それを彼らの国に持ち帰らせようとしている」と述べた。

 米国内で生産をするよう米国から強く求められた台湾積体電路製造(TSMC)は、アリゾナ州に3つの工場を建設するのに650億ドルを投資する。その見返りに、同社は最大66億ドルの補助金と50億ドルの融資を受ける予定だ。

 卓行政院長は、軍事費の着実な増加や男子の徴兵制の復活等ここ数年の台湾の自衛力強化の努力を指摘すると同時に、他国からの支援の重要性も強調した。米国の防衛協力と頻繁な支持表明が台湾に「地域の平和と安定に共通の責任を持つ国際社会の一員としての決意をさらに固めさせてきた」とも述べた。

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米国の「台湾関係法」

 本年11月の米大統領選挙の行方を占うことは現時点では不可能である。が、トランプ候補が最近、米国の台湾への軍事支援について発言し、台湾はもっと多くの代価を支払うべきだと述べたことが注目されている。

 上記の記事は、トランプ発言を紹介するとともに、トランプ発言の危うさに警鐘を鳴らすものとなっている。

 振り返ってみれば、米国政府は台湾との間に外交関係がないにもかかわらず、「台湾関係法」(1979年4月14日)を議会で通過させ、国内法上、実質的に台湾に「防御的性格の武器を供与すること」(第2条)を約束している。

 さらには、「台湾関係法」の中には、次のような規定もある。「台湾人民の安全、または社会、経済の制度に危害を与える如何なる武力行使にも対抗しうる合衆国の能力を維持する」(2条B項)。

 今日、米国による台湾への武器供与は中台間の軍事バランスを維持する上で不可欠な役割を果たしており、台湾にとって、米国はこの地域の平和と安全を守り、現状を維持する上で不可欠の盟友と言える。また、台湾は主要武器のほとんどを米国から購入している。


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