2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2014年1月22日

 ドラマはサスペンスの緊迫した展開になっていく。梅澤梨花(原田知世)は顧客の金を1億円横領したのである。少女時代と結婚生活、そして横領に至る過去と、アジアに逃亡してあてどもなく歩き回る今が、重ね合わされていくのである。

 梨花が名門の私立高校時代のエピソードが描かれるシーンは、原田知世ではなく子役が務めるのであるが、「時をかける少女」など原田主演の映画を思い出させて、懐かしい気持ちになる。

 専業主婦である梨花は夫の正文(光石研)と平凡な暮らしを送っている。唯一の悩みといえば、子どもができないことである。友人に勧められて、梨花は銀行の支店のパートで働くようになる。裕福な老人たちが多い住宅街の営業の補助要員である。

 愛情ある夫婦関係が築けないことをさとった梨花は、契約社員となる試験に挑んで合格する。一人暮らしの平林孝三(ミッキー・カーチス)の家で、訪ねてきた孫の大学生の光太(満島真之介)と知り合う。

 映画サークルで監督を務める、光太との出会いが梨花を徐々に変えていく。顧客のお金に最初に手をつけたのは、高級化粧品を買おうとして手持ちの現金が足りなかったとき、預かった現金を一時的に使った瞬間だった。

 恋人になった光太がサラ金から多額の借金があることを知って、顧客から預かった200万円の預金証書を偽造して、現金は使い込む。痴ほう症の高齢の女性から頼まれて下ろした300万円は、彼女が頼んだ覚えがないというと、そのまま自分の口座に入れるのだった。

 ドラマの冒頭は、アジアの国の国境をどしゃぶりのスコールのなかを越境するかどうか、迷っている梨花のシーンではじまる。過去の思い出がフェードアウトすると、再び梨花が炎天下のアジアの街を歩くシーンとなる。平凡な主婦が犯罪に手を染める。そこまでに至る謎が徐々に解き明かされていく。そして梨花はどうなるだろうか。

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