2024年10月9日(水)

BBC News

2024年10月9日

ロシアの情報機関は「イギリスとヨーロッパの街中で持続的な騒乱」を引き起こすことを使命にしている――。英情報局保安部(MI5)のトップが8日、そう警告を発した。

MI5のケン・マカラム長官は、イギリスの安全保障上の脅威に関して年次報告をした。その中で、イギリスがウクライナを支援するようになって以降、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の工作員らがイギリスで「放火、破壊工作、無謀さを増した危険行為」を行ってきたとした。

また、MI5はイランが支援する計画についても、2022年以降に20件対処してきたと説明。その大部分はそれ以前と同様、イスラム過激派や極右テロリズムに関係したものだったとした。

長官はさらに、テロ関連の脅威と諸国家からの脅威が複雑に絡み合っている状況によって、MI5は「とんでもなく大きな仕事を抱えている」とした。

長官は年次報告で、以下の点を明らかにした。

若者がオンラインの過激主義にいっそう引き込まれている。テロ関与の疑いで捜査された人の13%が18歳未満だった

イギリスで「集団殺害」を行うことを目的とした、銃器や爆発物が絡んだ後期段階の計画が、2017年以降に計43件阻止された

国家による脅威に関するMI5の調査件数が48%増加した

テロ対策は「75%がイスラム過激派、25%が極右テロ」に二分された

長官はまた、「私たちは現在、ヨーロッパでの大規模な地上戦を背景に、それら(テロ)の脅威と、国家が支援する暗殺や破壊工作の策略に直面している」と説明。

イギリスがウクライナ支援で「主導的役割」を果たしていることから、「プーチン政権の熱狂的な想像力におけるイギリスの存在は大きくなっている」とし、イギリス国内での敵対行為が今後も予想されると警告した。

イギリスの現在のテロ脅威レベルは「相当(SUBSTANTIAL)」で、攻撃が起こる可能性が高いとされている。

かつてない明確さでロシアを非難

マカラム長官によると、ロシアがウクライナを侵攻して以来、ヨーロッパではロシアの外交官750人以上が追放された。「その大多数」はスパイで、この対応がロシア情報機関の能力に影響を与えているという。

また、ロシア当局は民間の工作員や犯罪者らに「汚れ仕事」をさせるようになったが、活動の質が落ち、失敗しやすくなったという。

同長官がこれほどはっきりロシアを非難したのは初めて。

イランについては、中東での戦争が続くなか、MI5として「イギリスにおけるイランの国家的な侵略が増えたり広がったりするリスクに最大限の注意を払う」とした。

マラカム長官はさらに中国にも言及。イギリスとの経済関係が安全保障の下支えになっていると述べた。ただ、中国共産党(CCP)はデータや情報を盗み取るプログラムを持っているとし、「個人を狙った分かりにくいアプローチを2万件確認した」と述べた。

オンラインの過激主義と若者の関係については、「かなり若い人たちが有害なオンライン過激主義に引き込まれるケースがあまりに多い」と指摘。「特に過激な右翼のテロリズムが、若者に偏って影響を与えている。オンライン文化への巧みな理解を示すプロパガンダが、それに勢いを与えている」とした。

内務省が先月公表したデータによると、今年6月までの1年間にテロ関連の犯罪の疑いで拘束された242人のうち、17%(40人)が17歳以下だった。

キア・スターマー首相は、マカラム長官が説明した「冷静な調査結果」は重要だとした一方、「この国の治安サービスは世界トップクラスであり、安全を守るために必要なことはすべて行う」ことについて、国民は安心していいと述べた。

(英語記事 Russia on mission to cause mayhem on UK streets, warns MI5

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c7493p14nkvo


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