ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、イヴェット・タン、BBCニュース
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は7日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の72歳の誕生日に合わせて祝電を送った。その中で、プーチン氏を「最も親しい同志」と呼んだ。
金氏は祝電で、プーチン氏の誕生日を祝うとともに、両国関係は新たなレベルに引き上げられるだろうと付け加えた。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、ロシアと北朝鮮の関係は深まっている。こうした動きは西側諸国を不安にさせている。
金氏は8日、北朝鮮政府は核兵器を持つ軍事大国にするための措置を加速させると述べた。
金氏はプーチン氏が6月に平壌を訪れて以降、両国関係が「自主と正義の実現を共通の理念とする不敗の同盟関係、百年大計の戦略的関係」に格上げされたと称賛したと、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は報じた。
「今後も続く我々の再会と同志的な絆は新たな全面的発展の軌道に乗った朝ロ親善と戦略的協力関係の万年の土台をさらに強固にし、地域と世界の平和、国際的正義の守護に積極的に貢献することになる」
両国の武器・技術支援
北朝鮮とロシアの関係は、金氏の祖父・金日成(キム・イルソン)氏と旧ソ連のヨシフ・スターリン氏の時代までさかのぼる。旧ソ連は北朝鮮に武器や技術を支援していた。北朝鮮政府は完全には信頼していない中国に、全面的に依存することを望んでこなかった。
プーチン氏と金氏は6月、どちらかの国が「侵攻」された場合は相互に助け合うとする条約に署名した。
金氏はウクライナとの戦争を続けるロシアに武器を提供するのと引き換えに、経済面と技術面での支援を受けていると非難されている。
ロシアが北朝鮮製ミサイルをウクライナに配備していることを示す証拠も増えている。
プーチン氏にとっては、北朝鮮との関係は戦略的というより戦術的なものである可能性が高い。プーチン氏はウクライナ戦争への支援を必要とし、北朝鮮はプーチン氏がお金を払うのならどんな軍需品でも喜んで売るだろう。
ジェイムズ・マーティン不拡散研究センターのジェフリー・ルイス所長は以前、金氏とプーチン氏はいずれも、「アメリカの制裁が届かない場所に友人やパートナー国などのネットワークをつくることで、国際的な制裁から受ける痛みを軽減しようとしている」と述べていた。
北朝鮮はロシアの軍事技術へアクセスすることで、多大な利益を得ることができる。ロシアの技術は、北朝鮮の国産のシステムやリバースエンジニアリング(既存の機器を分解し、その設計を複製・改善する手法)システムよりもはるかに進歩している。
北朝鮮の主要な目標は、核兵器とミサイルシステムの完成だ。新たなミサイルシステムの製造や核兵器の小型化などで、この10年で非常に驚くべき進歩を遂げてきた。
それでも、ロシアにはそれよりはるかに進んだ熱核弾頭や大気圏再突入技術、固体燃料ロケットモーターといった技術がある。
2023年9月に金氏がロシアを訪問した際には、プーチン氏が北朝鮮の人工衛星開発を支援することを約束した。
こうした中、韓国の国会議員の姜大植氏が8日、北朝鮮が原子力潜水艦の可能性があるものの建造に着手した兆候を韓国軍が検知したと明らかにした。
姜議員は韓国の情報機関の情報として、建造の初期段階にあり、「動力が原子力であるかどうか判断するにはさらなる確認が必要」だと述べた。