ブラジルの最高裁判所は8日、米富豪イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)について、国内でのサービス停止措置を解除すると発表した。
アレクサンドル・デ・モラエス判事はこの日、Xが多額の罰金を支払い、誤った情報を拡散したとされるアカウントを凍結したのを受け、サービスの「即時復帰」を承認した。
声明によると、Xは合計2800万レアル(約7億5000万円)の罰金を支払い、ブラジル法で義務付けられている現地法定代理人の任命に同意した。
モラエス判事は8月、2022年のブラジル大統領選挙に関する誤った情報を拡散していると政府が判断した複数のアカウントについて、Xが凍結を拒否したため、国内からのXへの接続を遮断するよう命じた。
ブラジルの電気通信監督庁は今回、24時間以内に国内2000万人以上のユーザーにサービスが再開されるのを確認するよう指示されている。
マスク氏は数カ月にわたってブラジルの裁判所の命令に背いた後、8月下旬にブラジルの従業員を解雇し、同国にあるXのオフィスを閉鎖した。
当時マスク氏は、「ブラジルのXオフィスを閉鎖するという決断は困難だった」と記している。
「言論の自由の絶対主義者」を自称する同氏は、数十件のアカウントを凍結させようというモラエス判事の措置について、権力の乱用であり、言論の自由の侵害だと表現していた。
この数日後、モラエス判事は国内全域でXを遮断するよう命じた。
多くのユーザーがブルースカイなどの別プラットフォームに乗り換え、ブラジルではVPN(仮想プライベートネットワーク)の需要が急増した。
しかし、9月にはXが方針を転換したとみられ、裁判所の命令に従うようになった。
Xは8日、「ブラジルに戻ることができて誇りに思う」と述べた。
同社の政府業務チームは声明で、「このプロセス全体を通じて最も重要だったのは、数千万人ものブラジル人に、当社の不可欠なプラットフォームへのアクセスを提供することだった」と述べた。
Xは禁止措置の解除を求め、判事の要求のすべてに従ったとみられている。
ブラジルは、Xにとって世界最大の市場の一つであり、ラテンアメリカ最大の市場でもある。推定2200万人のユーザーがいる。