2024年4月24日(水)

勝負の分かれ目

2023年10月12日

 「一点の曇りもなし」――。プロ野球巨人前監督の原辰徳氏は東京ドームでの最終戦後、今季限りでの退任を表明した。10月6日には、阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチの新監督就任会見が開かれ、65歳となった前指揮官も同席した。

 現役時代からGのスターだった〝若大将〟は、2002~03年、06~15年、19~23年と3度にわたって巨人を率い、17年間でリーグ優勝9度、日本一3回。巨人の監督では歴代最多の1291勝を挙げた。

 その実績は決して色あせることはないが、今季は2年連続Bクラスとチームが低迷。契約任期を1年残しての退任となった。

今シーズン限りで退任した巨人の原監督(中央)とセ・リーグを制した阪神の岡田監督(右)(時事)

 原氏とは対照的に、セ・リーグのペナントレースを制したのは、阪神タイガースを率いた、原氏の一学年上で球界最年長の11月で66歳となる岡田彰布氏である。巨人と阪神。学生時代(原氏は東海大学、岡田氏は早稲田大学)からともにスター選手だった両者は、ライバル球団の主軸として現役時代からしのぎを削ってきた。東京の野球ファンにはピンとこないかもしれないが、関西における岡田氏の存在感は相当なものである。そんな両者が、今季は明暗を分けた。

 思い出されるのは15年前のペナントレースである。2人がともに50歳だった08年は、両者が今季と立場が入れ替わり、まさに激動のシーズンだった。

 著者は同年シーズンから巨人担当(G担)として東京へ赴任した。前年までは大阪で阪神担当の「虎番」だった。

 05年秋からプロ野球担当となり、G担になる前年まで記者として取材した岡田氏の采配は、野球記者として記事を書く上での礎を築いてくれるものだった。レギュラーを固定し、「普通にやったらええんよ」と奇策は打たない。試合が始まれば、送り出した選手を信頼し、ベンチでドンと構える「王道野球」だった。試合前後は記者の雑談にフランクに応じ、球界改革などの持論も遠慮なく語ってくれた。

 阪神のリーグ優勝は岡田氏が主力として球団唯一の日本一を経験した1985年以降、星野仙一氏が2003年に経験しただけ。名将と呼ばれた野村克也氏でも果たせなかった。監督就任2年目でリーグ優勝に導いた岡田氏の会話には「生え抜きのタテジマ」というプライドも随所に見えた。


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