実に18年ぶりとなるセ・リーグ優勝を成し遂げた阪神タイガース。2位以下に10ゲーム以上、引き離しての圧倒的な強さが際立った。
あらためて振り返ってみれば、Vの原動力となった主力選手たちの層の厚さはセ他球団と比較しても群を抜いていた。その背景にあるのは近年のフロントによる緻密なドラフト戦略がある。それが今季、実を結んだこともチームを悲願達成に導いた大きな要因と言えるだろう。
主力がみなここ5年のドラフト入団選手
Vへ独走態勢を固めた夏場には3番に森下翔太外野手、4番に大山悠輔内野手5番に佐藤輝明内野手がクリーンアップで揃い踏み。3人はいずれもドラフト1位入団だった。森下は22年、大山は16年、佐藤輝は20年の1位だ。
それだけではない。「1番・中堅」で〝猛虎のリードオフマン〟の座を不動のものとした近本光司外野手も18年ドラフトの1位入団。さらに「2番・二塁」の中野拓夢内野手は20年の6位、そして「8番・遊撃」の木浪聖也内野手は18年の3位だ。実を言えば今季のスタメンにはいずれも過去5年間のドラフトで指名され、入団を果たした選手が名を連ねている。
投手陣も若い力がめきめきと頭角を現し、柱となっている。今季144回1/3の投球回数で防御率1.75を誇る村上頌樹投手は最優秀防御率の初タイトル奪取も確実だ。ここまで10勝6敗で自身初の2桁勝利をマークしている3年目右腕は20年のドラフト5位入団。
また、自己最多を更新する43試合に登板中の中継ぎ・石井大智投手が20年の8位、今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に侍ジャパンの一員として出場した湯浅京己投手も18年の6位で入団しており、この投手3人も過去5年以内のドラフトで指名された選手だ。しかも、この3人は下位指名された面々である。
岡田彰布監督が球宴前の時点で「今年だけじゃなく、このチームはもっと強くなる」と口にしたのも20代半ばの若い選手たちがすでに一軍の屋台骨を支え、今後もさらなる成長を期待できると踏んでいるからに他ならない。