2024年12月22日(日)

勝負の分かれ目

2023年8月11日

 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)が、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催されている。今年も厳しい暑さの中での開催が続くが、雑誌や書籍を除いたほとんどのマスメディアでは炎天下でのプレーなどを危惧する記事は目にしない。主催の朝日新聞をはじめ、他のテレビもラジオも新聞にとっても、「夏の甲子園」は大きく扱う魅力的なコンテンツであることと決して無関係ではないだろう。

(Tomwang112/rammy2rammy/gettyimages)

選手が倒れても「クーリングタイムに感謝」

 朝日新聞をはじめ、新聞メディアは大会期間中、甲子園報道に多くの紙面を割く。そこに描かれた球児たちの青春は、胸が熱くなる記事も多い。

 そんな甲子園はこの夏、5回終了後に暑さ対策で10分間の「クーリングタイム」が実施され、選手の身体冷却や水分補給などにあてられるようになった。ベンチ裏のクーリングのためのスペースには送風機や体温を測定するサーモグラフィーが設置され、保冷剤なども備えられている。1日10~15人の理学療法士が対応にあたり、朝日新聞デジタルの記事によれば、報道陣にスペースが公開された5日は、選手をサポートする理学療法士3人が、実際に試合中に行う身体冷却の方法を実演したという。

 しかし、選手たちの異変は開幕初日から続発した。

 第1試合の土浦日大―上田西戦では六回に上田西の先頭打者が三塁ゴロで一塁に走り、ベースを越えたところで膝を抱えて倒れた。同じ六回、今度は土浦日大の中堅の守備についていた選手が倒れこみ、担架で運ばれた。

 さらに、第2試合でも六回、聖光学院の先発投手がベンチに下がると、そのまま交代となった。大会本部によると、第1日目の3試合で熱中症の疑いで処置した選手は計6人だったという。

 翌7日、首都圏で目にした朝日新聞の紙面では、熱中症の疑いで6選手が処置されたことが記事になり、左横には大会会長でもある朝日新聞社の中村史郎社長が「ここ数年、選手の健康管理や暑さ対策の様々な取り組みを進めています。今大会からは登録選手数を拡大し、クーリングタイムを導入しました」などとしたあいさつ要旨が掲載された。毎日新聞は「熱中症疑い6人」の見出しと、その横に「クーリングタイム」が初めて導入されたことを紹介する記事が載り、読売新聞は「『クーリングタイム』手探り」の見出しで、選手たちの反応を「いい休憩になった」「ずっと座っていたので、使い方を考えないといけない」などと紹介していた。


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