『真夏の甲子園はいらない~問題だらけの高校野球』(岩波ブックレット)の共著者の一人であるスポーツ文化評論家の玉木正之氏は第三章「『廃止論』どころか『改革案』までも封殺する日本のジャーナリズム(マスメディア)の根本問題」の中で、朝日新聞出版発行の月刊誌で2014年3月号に掲載予定として執筆依頼を受けた「高校野球甲子園大会の批判」を書いた原稿が没になってしまったというエピソードを紹介している。
野球界からも出された〝改革案〟
マスメディアの動きが鈍い一方で、野球界の著名なOBたちは「改革案」に持論を掲げる。
甲子園でスターになった松井秀喜氏はスポーツ報知が7月25日に配信した電子版「ゴジLIVE」で「夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じますが、それも難しいのでしょうかね?(中略)夏休みいっぱいを使って、甲子園大会をやってもいいのではとも思います」などと改革案を提言する。
巨人、米大リーグなどで活躍した上原浩治氏も甲子園が開幕した翌7日のヤフーコラム「野球に正解はない」で、野球の全国大会は「夏」「甲子園」というキーワードが不可欠なのか、球児の声が聞いてみたいと問いかけている。
開催時期をずらすという案には、学校の夏休み期間との兼ね合いを理由に否定的な意見もあるが、「夏しかできない」という前提に立つことが、炎天下でのプレーを強いられる高校球児たちの側に立っているのかは疑問でもある。松井氏が指摘した「分散開催」や、上原氏が直言した「球児の声を聞いて議論の土台にすべき」という指摘は極めて真っ当に思える。
猛暑は続き、重大な事案が発生してからでは手遅れであり、対策は待ったなしの状況といえる。