2024年4月26日(金)

勝負の分かれ目

2022年10月23日

巨人に1位指名された浅野選手(時事)

 プロ野球の2022年ドラフト会議が終わり、各球団の指名選手が出揃った。今年は「不作ドラフト」と揶揄されてはいたものの、それなりに盛り上がったように思う。その中で最も注目を集めたのは、やはり高校通算68本塁打で世代ナンバーワンスラッガーの高松商業高校・浅野翔吾外野手だろう。

 浅野の1位指名で巨人と阪神タイガースが競合となり、くじ引きでは大学時代からプロにかけて同世代ライバルの原辰徳監督と岡田彰布監督がそれぞれのチームを代表して〝一騎打ち〟。ここまで1勝11敗とドラフトのくじ運が悪かった原監督が浅野の当たりくじを引き当て、交渉権を獲得した。

 原監督の喜びようは尋常ではなく、とにかく凄かった。「当たり」を確認した瞬間、力強いガッツポーズ。そしてテレビカメラの前でインタビューを受けると興奮し、目が真っ赤に充血していた。その日の夜は「シャンパンで祝杯をあげた」ことまで包み隠さず明かしていたぐらいだから、心底嬉しかったようだ。

 巨人、阪神から栄えあるドラ1として指名重複。これだけでもドラマ性は十分だ。東西で人気を二分する伝統2球団に揃ってラブコールを送られた若武者にはスーパースターになり得る要素が確かにぎっしりと詰め込まれている。

 甲子園にも高校2、3年と2年連続で出場し、4本塁打を放った。今夏の大会でもリードオフマンとして活躍し、聖地3試合で打率7割台をマークするなど勝負強い打撃が光った。

 身長170センチ、体重86キロ。主に右打席に入るが、状況次第で左打席にも立つ。右投両打のスイッチヒッターだ。小柄とはいえ、ガッチリした「豆タンク」のような体型を駆使しながら走攻守の三拍子そろったオールラウンダーとして高校球界では抜きん出た存在となっていた。夏の甲子園終了後の今年9月に米フロリダで行われたU―18W杯でも木製バットで本塁打を放ち、重圧のかかる国際大会でも物怖じすることなく対応力の高さを見せつけている。

 浅野の潜在能力を評する声として、オリックス・バファローズの主砲で日本代表・侍ジャパンでも常連となっている長距離打者の吉田正尚外野手に「タイプ的には近い」と指摘する関係者も少なくない。


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