オーストラリア訪問中のイギリス国王チャールズ3世が21日、連邦議会を訪れた際、歓迎式典で先住民のリディア・ソープ上院議員が「あなたは私たちの国王ではない」と叫んだ。
ヴィクトリア州選出で、先住民の権利保障のために活動しているソープ議員は、「あなたは君主ではない」、「私たちの土地を返しなさい」などと繰り返したのち、会場から連れ出された。
その後、式典は何事もなかったかのように終了。国王夫妻は議事堂の外に出て、待っていた市民らと会った。
オーストラリアはチャールズ国王が国家元首を務める英連邦の一つ。
ヴィクトリア州選出で無所属のソープ議員は、アボリジニのオーストラリア人女性。長い間、豪政府と先住民との条約締結を主張している。
オーストラリアは、そうした条約がない唯一の旧英植民地。アボリジニやトレス海峡諸島民の多くは、主権や土地を王権に譲ったことはないと強調している。
今回の出来事のあと、ソープ議員はBBCに、国王に対して「明確なメッセージ」を送りたかったと説明。「君主になるには、その土地の者である必要がある」、「彼はこの土地の者ではない」と述べた。
ソープ議員はまた、国王は議会に対し、先住民との和平条約について話し合うよう指示する必要があると述べた。
