2024年11月13日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月13日

 「受け入れ姿勢」を規定する第三の要因は、変化がどれだけ急激かであろう。上記記事でも、カナダにおいて、近年の一時的滞在者の急増が移民受け入れの方針転換の背景にあったこと、移民人口が集中する地域で緊張が見られることに触れている。移民に対して寛容な国でも、急激な変化が生ずれば「破断界」が訪れてしまう。

日本が学ぶべきこと

 こうした事柄は、日本にも多くの示唆を与えてくれる。日本にとって外国人受け入れの経済的ニーズは大きい。一方、日本は、現在、「好況が人手不足を生む」という状況ではなく、人々の不満が表面化しやすい点を念頭に置く必要があろう。

 日本においては、外国人受け入れの経済的ニーズは大きいものの、「多文化への許容度」は高いものではない。外国人受け入れを進めていくとすれば、多文化を許容する社会意識の醸成が必要だろう。

 急激な変化を避けることも重要である。ここで難しいのは、移民人口が集中する地域の問題である。

 移民は血縁、地縁等で集まる傾向がある。埼玉県の川口市、蕨市のように、地域住民との緊張が生じやすい。国全体として、外国人受け入れを円滑に進めるには、そうした移民人口の集住地域の問題にきちんと対応していく必要がある。

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