2024年11月21日(木)

研究と本とわたし

2014年2月12日

 世界のさまざまな探検家が登場するのですが、たとえば、『二年生』の方でよく覚えているのが、最初に出てくるバルボア(1475-1519 スペインの探検家・政治家 バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア)。この人は、一般的にはあまり知られていませんが、ヨーロッパ人で初めて太平洋に到達したといわれる人です。

 私は小さい頃から名前を知っていたのに、まわりの誰に聞いても知らないというので、おかしいなぁと思っていたのですが、今思えばこの探検物語のレベルがかなり高かったのでしょうね。

『大むかしの生物』より。後年の人類学への興味を予見するような内容。
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 大学で人類学に進んだのも、潜在的にこういう探検的なものへの興味があったからではないかと思います。

 それから、やはり父親が買ってくれた「絵ときシリーズ」という自然科学もの。そのうちの1冊が『大むかしの生物』(直良信夫・偕成社)。著者の直良信夫(1902-1985)さんは、いろいろ毀誉褒貶がありましたが、明石人の発見などで著名な方です。大学に入ってから直良先生の業績を知り、非常に尊敬していたので、あるときふと子ども時分に読んだこの本を再び手にとって、実は直良先生の本を読んでいたのだと気がついて、感慨深かったですね。

――それ以降では、どんな本を愛読されていたのですか?

斎藤氏:先ほどの探検ともつながるのですが、一つは歴史ものです。はっきり覚えているのが、小学校6年生のときに、河出書房から出た「世界の歴史」シリーズの新聞の全面広告。

 最初に惹きつけられたのが、その第1巻『人類の誕生』(今西錦司著)の表紙です。クロマニヨン人が何か獲物を背負っているという、非常に印象的な絵が描かれており、父親にせがんで、20数巻全巻を揃えてもらいました。ただ、初めて読んだ中学生のときには、内容が難しくてよくわからなかった(笑)。高校に入ってもう一度読み直したら、ようやく世界史の副読本にちょうど良いレベルでしたね。

 それから、中学から大学時代は、SFにも熱中しました。その中でも一番好きなのが、フランク・ハーバートの「デューン」シリーズ。第1作『デューン/砂の惑星』(ハヤカワ文庫SF)は、デヴィッド・リンチ監督で1984年に映画化もされています。この作品の中には、作者がつくった宇宙というか歴史があり、非常に哲学的で深遠なものを感じて、とても魅力的でしたね。後に英語版も買ったし、何度も読み返しています。


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