その前に読んだのが、『銀河パトロール隊 レンズマンシリーズ①』(EE創元推理文庫)などの「レンズマンシリーズ」。こちらも、作品の中に50億年くらいの歴史が描かれておもしろい。これにはまっていたので、大学受験の通信添削でも、「レンズマン」という名前をペンネームにしていたほどです。
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そのほか、ジュール・ヴェルヌの著作もたくさん読みましたが、1冊挙げるとしたら、『動く人工島』(創元推理文庫)。子どもの頃にも『動く島の秘密』という書名で読んでいて、大学生のときに改めて読み直しました。“フローティング・アイランド”を初めて描いた小説だと思いますが、先見性があって、すばらしいですね。
また『地球幼年期の終わり』(創元推理文庫)は、SFの古典的な名作として有名ですが、著者のアーサー・C・クラークは、この中でキリスト教を揶揄している。彼は後にスリランカに移住して、仏教のことを評価する文章を書いたりしているので、そういう観点からも、なかなかおもしろいですよ。
ちなみに最近は、村上春樹作品などがその代表だと思うのですが、一般の作家の小説がSF的な要素を取り入れてどんどんSFに近づいているように感じます。そのせいか、本来のSFは範囲が狭まってしまったように感じてあまり読まなくなりました。
――幼少時から本に囲まれていたということですが、数年前に本格的な書庫をつくられたとか。
斎藤氏:実家の敷地内につくったもので、32畳の広さがあり、最大3万冊収納できる設計で、現時点で1万冊あまり入っています。ただ、そのうちの半分は亡くなった父の蔵書で、『暮しの手帖』や『芸術新潮』、『美術手帖』などはかなり古いものからあります。私自身の本は、好きな歴史関係の本や専門書のほか、コミック本が1000冊以上、SFも500冊以上になります。