2024年12月3日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年12月3日

「実はユニクロの服を何枚か持っている」

 だが、よく見ると、以下のようなコメントも少なくなかった。それは「どのような綿を使っていても構わない。消費者にとっては品質のよさ、安全性がいちばんだ」「関係ない。ただ安く売って、多くの人が買えるようにしてほしい」「ユニクロの商品はやはり品質がいいんだよね。実はユニクロの服を何枚か持っている」

 具体的に新疆の少数民族問題に言及している意見は少なく、報道を見て、感情的に「もう買わない」とする短いコメントが多かったが、それに対しても「冷静になってみよう」といった呼びかけもあり、烈火のごとく怒っているといった感じではない。少なくとも、こうした声に端を発して、大規模な不買運動につながるような動きがあるようには感じられなかった。

 というのも、筆者が見たところ、中国の北京や上海などの大都市に住む人々にとって、新疆ウイグル自治区は距離的、心理的に遠いところである。普段は、それほど深い関心を寄せている地域ではない、ということがある。

 筆者が2022年に出版した『いま中国人は中国をこう見る』(日経プレミアシリーズ)では、中国人が今の中国の体制や社会について、本音ではどう思っているのか、について取材している。その中で、中国の大都市に住む女性がウイグル問題について、次のようにコメントしていたのが印象的だった。

 「海外の人からよくウイグルの人権問題について指摘されますが、正直にいえば、一般の中国人はその問題にはほとんど興味がありません」

 別の中国人もコロナ禍の20年、新疆ウイグル自治区を旅行したが「現地のホテルでは、ガイドとウイグル問題について話すこともありました。でも、同行した観光客たちに、深い関心を示す人はいませんでした」


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