ノルウェーではタラバガニも大きな財産になっています。23年の水揚げ量は2794トンで108億円(同)でした。ノルウェーのタラバガニはもともと、ロシアから移動してきた資源です。
当初は、サーモンの養殖いけすに引っかかる邪魔者扱いでした。しかしながら、その価値に気づき、漁獲枠を設定して大切な資源に変えています。
もともとはいなかったノルウェーのズワイガニとタラバガニ。その水揚げ金額は合計約170億円(23年)。ズワイガニの漁獲枠の大幅増で、来年はさらに増える見通しです。
もちろん、北海道でのカレイ漁業や他の漁業も重要です。しかしながら、もし大ズワイガニを大きくして主要漁業に育てた場合の水揚げ金額や、地域社会への影響を戦略的に考えないのは実に惜しいのではないでしょうか。恐らく補助金を使って他の漁を減らしても、将来大ズワイガニの漁業で十分採算が取れる可能性もあります。
残念ながら、大ズワイガニはすでに獲りすぎで手遅れに差し掛かっていると思います。海外の成功例にもっと目を向けるべきではないかと筆者は考えます。
アラスカ(米国)のズワイガニの真実
アラスカのズワイガニ(オピリオ種)が、海洋熱波が原因(アメリカ海洋大気庁〈NOAA〉の説明)で大量に一時的に減ってしまい禁漁となりました。禁漁により資源が回復し、25年の漁期から再び解禁となります。
漁獲枠は2141トンで、日本で漁獲された数量(23年約2000トン)とほぼ同量です。これとは別にバルダイ種の枠が2844トン(前期比3倍)あります。
ズワイガニは一例にすぎませんが、一度減るとほとんど回復しない日本の多くの漁業と異なり、科学的根拠に基づく管理が厳格に行われている国々の水産資源は確実に回復していきます。
22/23年の漁期でのアラスカ・ベーリング海のズワイガニ(オピリオ種)漁が、初めて禁漁になりました。
20/21年の漁期に、前期16万7300トンと推定されていた資源量が、2万6740トンに激減しているという発表がありました。このためTAC(漁獲可能量)も2万400トンから2500トンに大幅減少となりました。そして、22/23年の漁期で初めての禁漁になったわけです。
しかしながら、すでに資源量は2万6740トン⇒4万1200トン(21/22年)⇒5万5000トン(22/23年)年と回復傾向にあります。かつTACを決める科学的根拠となる生物学的許容漁獲量(ABC)は7700トンとなっています。
日本の21年の漁獲量は2500トンでしたので、約3倍の数量が生物学的に漁獲可能でした。ところが、成熟したオスの資源量が最低必要量を下回っているという理由で、禁漁にしたのです。