2024年11月22日(金)

ヒットメーカーの舞台裏

2009年5月14日

 会見で宮本彰社長は同社の開発スタンスを2点挙げた。「打率は1割でもホームランを打つ」「熱狂的な賛成が10人に1人いればいい」。

開発スタンスを話すキングジム・宮本彰社長

 ホームランとは「これまでにないモノ」。「欲しいモノと買いたいモノは違う。絶賛されるほどのモノでないと財布の紐は緩まない時代」と語る宮本社長は、10人中10人がそれなりに欲しいと思う中途半端なモノより、10人中1人でいいから絶賛されるモノを作れと社内にハッパをかけている。「打率1割でも日本全体でみれば1200万人。十分なヒットだ」(宮本社長)。

(上)キングジムスタイル
(下)5/21から放映されるCM

 さらに、横田英人・常務開発本部長は、「コストが安く、信頼性の高い成熟技術を上手く使うことがキングジムスタイル」と話した。確かにポメラに最新技術などは使われていない。

 それでも、発売4カ月で初年度発売目標の3万台を突破し、年間目標は10万台に上方修正された。この実績から、ついにテレビCMが5月21日から開始されることになった。

 最新技術を投入しても、値段はどんどん下がり、プレーヤーが多いために熾烈な競争にさらされている家電業界には、参考になる事例だ(関連記事:「電機業界赤字の真相」)。付加価値がどんどんつけられていくのは、ユーザーのためというよりは、価格を上げるためではないかと思えてしまうのはパソコンだけではなく、テレビ、携帯電話などあらゆる家電に共通する。余分な機能を削ぎ落として「書くことに特化した」というポメラのほうがユーザーの気持ちを考えて作られたといえるのではないだろうか。


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