2025年2月23日(日)

災害大国を生きる

2025年1月31日

 日米同盟は相互支援と戦略的地域パートナーシップを特徴とする黄金時代に入っている。このような同盟関係は我々に信頼と友情を与えてくれるものの、理解を深め、世界的な課題に協調的に取り組むためには継続的な関与が必要になる。

避難所として使われている中学校を歩く少女(石川県珠洲市)。日常が戻るまで心のケアは欠かせない(KYODO NEWS/GETTYIMAGES)

 そうした課題の一つが、地球の隅々にまで甚大な影響を及ぼす自然災害である。地震であれ異常気象であれ、自然災害を免れる国はない。

 その中でも、日本は自然災害による被害を嫌というほど知っているため、そうした危機に備え、対応する経験が豊富だ。特に2011年の東日本大震災は、女性と少女に特有のリスクとニーズを考慮する災害リスク軽減対策(Disaster Risk Reduction 以下、DRR)の改善と強化への機運を日本で大きく高めた重大な出来事だった。詳細は後述するが、日本政府は特にDRRを「女性・平和・安全保障(WPS)」の国家行動計画に統合することによって、この分野で前進を遂げてきた。

 WPSと似た枠組みを持つ国はあるが、災害対策を組み込む例は多くない。米国もWPS国家行動計画にDRRを組み込んでいることから、これは同盟を強化するために日米両国がさらに協調する機会となる。

 24年7月、筆者は米国笹川平和財団のSEED(Sasakawa USA Emerging Experts Delegation)プログラムを通して米国の連邦・地方レベルの政府機関や市民社会団体のDRR専門家グループを引率し、1週間の日本実地調査に臨んだ。その目的は様々な分野の日本の専門家と交流し、公正なレジリエンス(強靭性)を育むために、DRR政策・慣行を強化する機会が存在する分野を見つけることだった。

 東北と能登で過ごした時間は感情的に強烈に響くものだった。現地で私たちは被災者から苦しみとレジリエンスに関する話を聞いた。ある女性は、地震によって自分の農場が甚大な被害を受けたことを話してくれた。再建の目途は立っていないものの、彼女はなんとかして立て直す決意をしていた。

 かつて農場がそうしていたように従業員に仕事を提供し、地域経済を支える責任があると感じていたのだ。その一方で夕食の準備中には、テーブルを拭きながら、年配の女性とおしゃべりをして一緒に笑い合うような瞬間もあり、災害時の日本の強さとレジリエンスを目の当たりにした。

東北視察では宮城県本吉郡南三陸町にある東日本大震災の震災遺構である高野会館にも訪れた(筆者提供、以下同)
能登視察の様子(石川県珠洲市)

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