2024年7月12日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月20日

 米国民は戦後公海での自由航行が脅威にさらされたことがなかったので、シーレーンの確保につき関心がなく、またアジアの安定と安全のため、米兵が犠牲を払うことに納得していない。オバマが貿易推進権限など、アジアに必要な政策を説明するのに苦心するのも無理はない。米国のアジアとの関係についての基本的ビジョンにつき、有権者や与党を説得できなかったのであるから、アジア回帰の具体策で支持を取り付けるのはまず不可能である。

 TPPは、ただ声を上げるだけというオバマのやり方の間接的な犠牲者の最近の例である、と論じています。

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 TPPが暗礁に乗り上げたのはアジア回帰にとって打撃であるが、実は、そもそもオバマはアジア回帰自体について熱心でない、という批判です。これは、その通りでしょう。

 オースリンの、米国民はアジアにあまり関心がないと言っているが、オバマがアジア回帰を真剣に考えているのであれば、国民を説得するよう努めるべきだ、との指摘は正論です。しかし、オバマは、議会の説得すら真剣に行っていません。

 アジア回帰の根本は、中国をどう見るかです。今月発表されたQDR(4年ごとの国防計画見直し)では、アジア太平洋地域に部隊を重点的に配備する計画、具体的には海軍の艦船の6割を太平洋に集中させる一方、アジア地域では海空戦力は維持されることが、打ち出されています。オバマがアジア回帰についてどう考えようと、中国の動きを直視すれば、米国としては実質的に軍事面でアジアに回帰せざるを得ないということであり、アジア回帰が形骸化することにはなりません。これは、日本および関係国として歓迎すべきことです。

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