米ヘリテージ財団の中国専門家、ディーン・チェン研究員が、同財団のウェブサイトに1月24日付で掲載された論説で、中国が東アジア沿海地域において拡張主義を取っている時に、皮肉にも米国はこの地域から身を引きつつあるように見える、と述べ、米国のとるべき政策を列挙しています。
すなわち、ここ数か月来、東アジア沿岸地域における中国の行動はますます強硬なものになっている。中国は行政的、軍事的、外交的、経済的にこれら地域が中国の支配下にあると主張している。
皮肉なことに、中国がこれら地域への支配を強めつつあるときに、米国はこの地域から身を引こうとしているように見える。
「アジア回帰」というオバマ政権のスローガンにかかわらず、米国は、現実には東アジアより中東地域の安全保障問題にエネルギーをとられている。
南シナ海における周辺諸国の漁業活動の規制強化、三沙市の格上げなどは、中国の膨張主義の、最近の好例である。中国は周辺諸国との対立を国際的仲裁によって解決することを拒絶している。フィリピンは中国との領土権対立を、両国がともに署名国である国連海洋法条約によって解決しようとしているが、中国はこれを拒絶するだけでなく、非難している。
中国の防空識別圏は中国と日本が尖閣をめぐって緊張関係にあるときに設定された。尖閣周辺においては誤算や不注意により不測の事態が起こりうるが、中国は軍事力を使って自分たちの主張を通そうとしているようである。
初の空母・遼寧の就航、米国のミサイル防衛をかいくぐることの出来るミサイルのテスト、対艦弾道ミサイルの開発などは、あきらかに米国空母の「接近阻止、領域拒否」の戦略目的に沿うものである。
このような事態に対し、米国は如何に対処すべきか。
1)米の外交的プレゼンスを高めること。
ヒラリー・クリントン国務長官の時に明確に表明したように、「アジア回帰」のためには、米政策決定者は東アジア地域をより頻繁に訪れ、対話・協議しなければならない。ジョン・ケリー国務長官は前長官に対比して、この地域を「軽視する政策」を追求しているように見える。