2025年3月25日(火)

BBC News

2025年3月22日

米国国土安全保障省 税関・国境取締局 (CBP)の車両と取締官。「名誉が第一」と書かれている。

アメリカのドナルド・トランプ政権は21日、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ヴェネズエラからの約53万人の移民に与えられていた、一時的な在住資格を取り消すと発表した。

連邦政府は、4月24日に労働許可証と強制送還免除が取り消される前に、アメリカ国内に残る合法的根拠がない移民は国外に出るようにと警告した。

53万人の移民は、バイデン政権が実施した、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ヴェネズエラ(CHNV)からの移民に合法的な移民の道を開くために設計された、臨時入国許可制度のもとでアメリカに住んでいた。トランプ氏は大統領就任後、この制度を一時停止した。

対象者のうち何人がその間に、アメリカに合法的に滞在するための別の資格を確保できたかは不明。

バイデン政権が2022年に開始した入国許可制度は、ヴェネズエラ人を対象として始まった後、他の国々にも拡大された。 アメリカ国内に保証人のいる移民とその近親者に対し、アメリカに飛行機で入国した後に、「仮釈放」と呼ばれる一時的な移民ステータスで2年間の滞在を許可する仕組みだった。

バイデン政権はこの制度に、アメリカの南側国境からの不法入国を抑制する効果があると主張していた。

しかし、現政権下の国土安全保障省は21日、前政権がアメリカ国民にうそをついたと非難。 同省は声明で、バイデン政権は「移民がアメリカで仕事を得るための競争に参加する機会を与え、アメリカ人労働者の利益を損なった。不正が判明してもこの事業を推進するよう公務員に強制し、その後に起きた混乱と犯罪について連邦議会の共和党議員のせいだと非難した」と主張した。

しかし、連邦官報に掲載された35ページに及ぶ政府の通知では、この事業のもとでアメリカに滞在する人の一部は「事情によっては」滞在が認められる可能性があるとしている。

キューバ、ハイチ、ニカラグア、ヴェネズエラからの移民に臨時入国を認めるこの制度のもと、ハイチ国内の治安悪化を受けて約21万3000人がアメリカに入国したとされる。同様にトランプ氏がこの制度を廃止するまでの間に、ヴェネズエラから12万700人、キューバから11万900人、ニカラグアからは9万3000人以上がアメリカに入国したという。

国土安全保障省は2月、これとは別制度の「一時保護資格(TPS)」をアメリカ国内に住むハイチ人約50万人から取り上げると発表していた。TPSは、自国内が武力紛争や自然災害などで危険な状況にあると認定された特定の国の人たちを保護する制度。

同省はヴェネズエラ人に対してもTPSを停止したが、アメリカの人権団体がこの措置は違憲だと争う訴えを起こしている。

トランプ政権が今年1月下旬に発足して以来、移民の扱いに関する複数の決定が法廷で争われている。

トランプ大統領はまた、ロシアによる全面侵攻を機にアメリカに逃れたウクライナ人約24万人についても、暫定的な法的地位を取り消すかどうかも検討している。

(英語記事 Trump revoking legal status for 530,000 Cubans, Haitians, Nicaraguans and Venezuelans

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy057kvwr2po


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