2025年4月9日(水)

BBC News

2025年3月27日

米ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官

米誌アトランティックが、民間の通信アプリ「シグナル」のグループチャットで政府高官らが交わした、イエメン空爆に関するメッセージのすべてを公開したのを受け、ホワイトハウスは26日、強く反発した。

アトランティックのジェフリー・ゴールドバーグ編集長は、図らずも自身が参加することになり、イエメンでの軍事行動を事前に知ることになったチャットグループでのすべてのやりとりを26日に公開した。24日の記事ではチャットの一部だけを掲載していたが、政府高官らから、機密情報が共有されていたというのは同編集長のうそだと非難されたため、公開を決めたとした。

新たに公開されたやりとりでは、ピート・ヘグセス国防長官が、イエメン攻撃の詳細な時間や部隊などの機密性の高い情報を提示するなどしている。

ドナルド・トランプ大統領は26日、アトランティックの報道は「すべて魔女狩り」だとし、同誌を「失敗した雑誌」と断じた。

また、ゴールドバーグ氏を「まったくのげす野郎」だと述べた。

ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官はこの日の記者会見で、ゴールドバーグ編集長を直接的に攻撃。「反トランプの憎しみを抱えた人」だとし、「『シグナル』に関するデマ」を広める「メディアのプロパガンダ推進者」だと非難した。

そして、「本当の話なのは、(イエメンの反政府勢力)フーシ派のテロリストに対する断固とした軍事行動が圧倒的な成功を収めたということだ」と述べた。

ミスを認める政府関係者らも

一方、今回の事案は高官側のミスだったと認め始める政府関係者もいる。

トランプ氏もその一人だ。「シグナル」のチャットグループにジャーナリストを加えたのは誰の責任かと記者団に問われると、「マイク・ウォルツ(国家安全保障問題担当大統領補佐官)が自分に責任があると言ったと思う」、「マイクだと聞いている」、「(ウォルツ氏が)責任を取った」と答えた。

チャットグループを立ち上げたウォルツ氏は25日夜、「全責任」を取ると述べていた。

チャットに参加していたマルコ・ルビオ国務長官は26日、ジャマイカを訪問した際、「明らかに誰かがミスを犯した。(中略)大きなミスで、ジャーナリストを加えてしまった」と話した。

同じくチャットに参加したタルシ・ギャバード国家情報長官は、同日の下院情報委員会で、機密情報は共有されなかったと主張しながらも、ミスだったと認めた。そして、国家安全保障会議が「徹底的な検証」をすると述べた。

ヘグセス国防長官は自らを擁護

トランプ氏は今回の問題を「大したことではない」としている。

一方、野党・民主党は、ピート・ヘグセス国防長官が意図せずチャットでジャーナリストと共有した情報が、仮にアメリカの敵に入手されていたら、米軍人の命が危険にさらされていた可能性があると指摘。ヘグセス氏の辞任を求めた。

ヘグセス氏は26日、訪問先のハワイで記者団に向かい、自らを擁護し続けた。

「戦争計画ではないことは明らかだ」、「部隊、場所、ルート、飛行経路、情報源、方法、機密情報がまったく含まれていない」とヘグセス氏は主張。自分の仕事は「リアルタイムで最新情報を提供すること」であり、「それをしたまでだ」とした。

一方、軍事専門家や元情報機関職員らからは、チャット内の情報は非常に機密性が高く、民間通信アプリで共有すべきではなかったとの声が出ている。

かつて中東担当の国防次官補(DASD)を務めた、元CIA職員のミック・マルロイ氏は、「戦争計画は一般的に、紛争全体に関する計画」で、「そこから攻撃計画が生まれ、個々の部隊レベルに伝わる」と説明。

「どちらも機密扱いで、機密性が高い」としたうえで、「攻撃計画のほうがより詳細で、時間、場所、方法が具体的であることから、より機密性が高いと言うこともできる」と話した。

(英語記事 Trump officials attack journalist after Signal leak published in full

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2d49zjr9rwo


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