
ドナルド・トランプ米大統領がアメリカに輸入される自動車および自動車部品に対する25%の関税を発表したことを受け、各国が反応している。また、多くの経済大国が報復措置を行うと述べている。
ドイツは、アメリカの関税には「屈しない」と述べ、ヨーロッパは「断固として対応するべきだ」と主張した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この動きを「時間の無駄」で「一貫性がない」ものと非難した。中国も、アメリカ政府が国際貿易規則に違反していると非難している。
26日の発表を受け、日本からドイツまで、各国の自動車メーカーの株価が落ち込んだ。アメリカでは、ゼネラル・モーターズ(GM)が7%、フォードは2%以上の下落をそれぞれ記録した。
トランプ大統領は、ヨーロッパがカナダと協力してアメリカに「経済的損害」を与えようとする場合、「さらに大きな」関税を課すと脅している。
新たな自動車関税は4月2日に発効する予定で、翌3日から車両を輸入する企業に対する課税が開始される。部品に対する関税は、5月以降に開始される見通し。
ドイツのロベルト・ハーベック経済相は、欧州連合(EU)は「断固として対応するべきだ」と述べた。
「アメリカに屈しないことを明確にする必要がある。強さと自信を示す必要がある」
フランスもこの共同アプローチを支持しており、エリック・ロンバール財務相は、ヨーロッパがアメリカ製品に関税を課して報復するべきだと述べている。
マクロン仏大統領は27日の記者会見で、今はアメリカが関税を課す「時期ではない」と述べ、トランプ氏に再考を促した。
「関税を課すことは、バリューチェーンを破壊し、短期的にはインフレ効果を生み出し、雇用を破壊することになる」とマクロン氏は述べ、「こうしたことはすべていささか時間の無駄で、多くの心配につながる」と警告した。
日本は、アメリカとの経済関係に「大きな影響を及ぼしかねない」と警告している。石破茂首相は「非常に遺憾だ」と述べ、岩谷毅外相に「日本が除外されるよう粘り強く交渉してほしい」と指示した。岩屋外相は近く、マルコ・ルビオ米国務長官と協議する意向を示している。
カナダのマーク・カーニー首相は、トランプ氏の発表はカナダとその自動車産業への「直接攻撃」だと反発。カナダは「打撃を受けるものの、この時期に団結することによって、私たちはより強くなって浮上する」と述べた。
イギリスの自動車業界団体、自動車製造貿易協会(SMMT)は、この関税について「驚くべきことではないが、それでも失望している」と述べた。
自動車部品メーカー、英ユニパーツの創設者ジョン・ニール氏は、トランプ関税は「中国への贈り物」であるとし、国際的な消費者が貿易戦争に反応し、中国製品を購入するだろうと述べた。
一方、ドイツに拠点を置くボッシュは、北米市場の「長期的な潜在力」に自信を持っており、事業を拡大し続けると述べた。
国際通貨基金(IMF)は、アメリカの景気後退は予測していないものの、貿易戦争がカナダとメキシコの経済見通しに「重大な悪影響」を及ぼす可能性があると警告している。
中国は、トランプ大統領が世界貿易機関(WTO)の規則に違反していると非難している。
中国外務省の報道官は、「貿易戦争や関税戦争に勝者はいない。関税を課すことで発展と繁栄を達成した国はない」と述べた。
韓国のヒュンダイは関税発表の前日、アメリカに210億ドル(約3兆円)を投資するほか、ルイジアナ州に新しい製鉄所を建設することを発表した。
トランプ氏は、この投資を「関税がとても強力にうまくいくとはっきり示す」ことだと称賛した。
トランプ大統領はかねて、関税がアメリカの製造業を支援するための取り組みの一環だと主張しており、車がアメリカで製造される場合には「絶対に関税はかからない」と述べている。
関税とは、他国から輸入される商品に課される税金のこと。国内企業を保護することができる一方で、部品などを外国からの輸入に依存する企業にとっては、コストを増加させることになる。
外国製品を国内に持ち込む企業は政府に税金を支払う。企業が関税分のコストを吸収せず、その一部または全部を製品の価格に転嫁する場合もある。
アメリカは昨年、約800万台の自動車を輸入している。これは約2400億ドル(約35兆6000億円)相当で、自動車販売台数の約半分を占めている。
対米自動車輸出の1位はメキシコで、次いで韓国、日本、カナダ、ドイツが続く。
経済コンサルタント会社アンダーソン・エコノミック・グループの分析によると、カナダとメキシコからの部品に対する関税だけでも、車両によってはコストが4000~1万ドル(約60万~151万円)上昇する可能性があるという。
(英語記事 Germany leads defiance to Trump car tariffs, saying it 'will not give in'