2025年4月9日(水)

BBC News

2025年4月1日

子供を肩車して歩くパレスチナ人女性(3月31日、ガザ南部ハンユニス)

イスラエル軍は3月31日、パレスチナ・ガザ地区南部ラファなどの住民に対し、避難命令を出した。同月18日のガザ攻撃再開以来、最大規模の避難命令となる。

イスラエル軍は、ラファと、隣接するハンユニスの一部住民に対し、南部アルマワシの人道地域に直ちに避難するよう指示。これらの地域で「テロ組織の能力を解体するための、激しい作戦を再開する」と警告した。

1月19日に発効したイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意は、約2カ月間続いた。その間にラファの自宅に戻っていたパレスチナ人は、この日、再び避難せざるを得なくなった。

現在、ガザ地区の約2割の地域に避難命令が出されている。

国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は3月28日、イスラエルは避難命令の影響を受ける人々に滞在施設を提供せず、満足のいく衛生環境や健康状態、安全性、栄養状態を確保する措置を取っていないと非難。避難命令は、国際法で定められた要件を満たしていないと警告した。

イスラエル政府は、ハマス戦闘員から民間人を守るために避難させているとしている。同政府は、ハマスが民間人を人間の盾として利用し、国際法に違反していると非難している。

イスラエル軍も、民間人の死傷者数を抑えるためにできる限りのことをしていると主張してきた。

イスラエルは、停戦を延長し、ガザで今も拘束されている人質59人を解放するというアメリカの提案をハマスが拒否したと非難し、3月18日にハマスへの空爆と地上作戦を再開した。これに対しハマスは、イスラエルが1月に合意した当初の取り決めを破棄したと非難している。

ハマス運営のガザ保健省によると、3月18日の攻撃再開以来、同地区では1000人以上が殺害されている。

国連によると、イスラエルは3月2日からガザへの人道援助物資の搬入を阻止しており、ガザ住民210万人のための食料や医療品の供給が不足している。

イスラエルは昨年5月に初めて、エジプト国境に近いラファに大規模作戦を仕掛け、ラファの大部分は廃墟と化した。

それでも、1月19日からの停戦中、数万人がラファの自宅跡に戻った。

ラファに対する前回の作戦で、イスラエル軍はエジプト国境沿いの戦略的緩衝地帯を占領。停戦合意で求められていた撤退には応じなかった。

イスラエルは、武器がガザに密輸され、ハマスが再び武装するのを防ぐために駐留が必要だとした。

ラファから避難した女性は、交通手段がなく、生まれたばかりの娘と幼い子供3人を連れて、31日に徒歩で避難せざるを得なかったと話した。

「2カ月前に自宅に戻った(中略)家は破壊され、破片が飛び散り、窓ガラスは割れていましたが」と、女性はロイター通信に述べた。

「娘はテントの中で生まれた。そして今日、(イスラエルは)ラファ全域に避難命令を出した」

ガザ各地で空爆

こうした中、ガザ各地で新たに空爆が報告された。

ガザ市タッファ地区では、家屋1棟が攻撃を受け、子供3人と女性2人を含む8人が死亡したと、ハマスが運営する民間防衛隊は発表した。

ハンユニスの病院をとらえた動画では、数人の死者の中に少年1人が含まれているのが分かる。

イスラエル軍は、ガザ北部と中部で「安全の境界線」を拡大する作戦を実行している部隊が、ハマスの長さ1キロの地下トンネルを解体し、50人以上の「テロリスト」を排除したと発表した。

ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人をガザに連れ去った。イスラエルはこれに大規模な軍事攻勢で応じ、ハマスが運営するガザの保健省によると、これまでに5万350人以上のパレスチナ人が殺されている。

(英語記事 Israel orders evacuation of southern Gaza city of Rafah

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy9v4pg5n7no


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