2025年4月9日(水)

BBC News

2025年4月2日

リベラル派のスーザン・クロフォード判事

米ウィスコンシン州で1日に行われた州最高裁判事の選挙で、リベラル派のスーザン・クロフォード判事の勝利が確実となった。この選挙をめぐっては、富豪イーロン・マスク氏が保守派候補の支援のために有権者に100万ドルを贈与するなど、注目が集まっていた。

BBCがアメリカで提携するCBSによると、開票率約75%の時点で、クロフォード氏の得票率は約55%と、保守派のブラッド・シメル判事の約45%を上回っている。

これにより、ウィスコンシン州の最高裁は4対3でリベラル派が優勢を維持する見通しとなった。

2026年の中間選挙や2028年の次回大統領選挙を前に、同裁判所には、中絶や議会選の区割りなど、いくつかの重要な裁判が持ち込まれると予想されている。

そのため、両候補とその支持者らが合わせて1億ドルを費やす、米史上最も多額の費用が投じられた司法選挙となった。うち2000万ドルはマスク氏が支出した。

一方クロフォード氏は、マスク氏の戦略を攻撃する広告を出していた。

デーン郡判事のクロフォード氏は以前、全米家族計画連盟(PPFA)の弁護士を務めており、選挙活動中は人口妊娠中絶の権利を支持していた。

クロフォード氏は、世界的な慈善家のジョージ・ソロス氏、イリノイ州のJ・B・プリツカー知事、リンクトインの共同創設者リード・ホフマン氏といった富豪から多額の寄付を受けた。

リベラル派の選挙運動の多くは、政府効率化局(DOGE)でのマスク氏の役割に焦点を当てていた。このコスト削減タスクフォースは、数千人の連邦府職員を解雇し、連邦政府の人件費を削減する動きを進めている。

トランプ氏にとっては、大統領選における重要な激戦州での挫折となった。トランプ氏は昨年11月、わずか1ポイント未満の差でこの州で勝利した。

トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「愛国者」シメル氏を支持すると強調した。ウォーケシャ郡判事の同氏は、同州の共和党政権で司法長官を務めた経験もある。トランプ氏は、クロフォード氏が「ウィスコンシンにとって災害になる」と警告していた。

この選挙はまた、マスク氏の影響力を試すものとも見なされていた。

マスク氏は3月30日の集会で、「活動家判事」に反対する請願書に署名した有権者2人に、ぞれぞれ100万ドルの小切手を配布した。

その他の署名者らも、マスク氏から各100ドルを受け取った。

さらに、マスク氏の政治活動委員会は4月1日、ウィスコンシン州の住民が投票所の外でシメル氏の写真を持って立っている写真を撮った人に50ドルを支払うと発表した。

マスク氏は昨年の米大統領選で、トランプ氏を支援するために2億5千万ドル以上を寄付した。また、ウィスコンシン州など激戦7州で、憲法修正第1条と第2条の権利を支持する請願書に署名した有権者の中から毎日1人に100万ドルの賞金を贈った

ウィスコンシン州の最大都市ミルウォーキーの選挙管理委員会は1日、「前例のない歴史的な投票率」により、投票用紙が不足したと発表した。

これとは別に、有権者に投票時に身分証明書の提示を求める法律を州憲法に組み込むことへの是非を問う投票も行われ、賛成多数で可決された。

有権者はこれまでも身分証明書を提示する必要があったが、これを州憲法に追加することで、将来的に変更することが難しくなった。クロフォード氏は、この憲法改正に反対していた。

(英語記事 Democratic-backed judge wins Wisconsin race in setback for Elon Musk

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c75dlnx21y3o


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