2024年4月15日(月)

復活のキーワード

2014年5月5日

 ところが、そんな民間の知恵や力を生かせない構造になっているのも農業である。アベノミクスの成長戦略を議論する産業競争力会議(議長・安倍首相)では民間議員の経営者から「岩盤規制」にがんじがらめの分野として、医療と並んで指摘されている。既得権にあぐらをかき、努力しなくても補助金がもらえる過保護農政が、日本の農業を弱くしてしまったのである。

 そんな岩盤規制に穴を開けようという「国家戦略特区」が動き出す。昨年末に法律が成立。特区に指定された地域・分野では国の規制が緩和される。国家戦略特区担当大臣と地域の首長、事業を行う事業者が合意すれば、規制権限を握る所管官庁の大臣は認めざるを得ない仕組みになっている。これまでにも歴代内閣が特区制度を作ったが、所管官庁が反対すると実現できなかった従来の特区とは大きく違う。アベノミクスの規制改革の目玉なのだ。

 国家戦略特区には、すでに民間事業者や自治体からいくつもの提案が出されている。その中には農業も含まれている。

弁当にすれば10倍の価格で売れる

 愛知県田原市に本社を置く農業生産法人、有限会社新鮮組の岡本重明氏も、特区提案を出している一人。農協を脱退して企業として農業に取り組むなど「闘う農家」としてメディアにもしばしば登場する改革派。タイなどアジア諸国で日本の栽培技術を生かしてコメなどの農産物生産にも乗り出している。

 そんな岡本氏には農業をベースに実現したいアイデアがいくつもある。その一つが地域の安全な食材を使っておばあちゃんが作った料理を弁当にしてそれを急速冷凍し、世界に輸出しようというもの。農産物を料理に加工することで、価格は大幅に高くなる。例えば、弁当のご飯にすれば、コメのまま売る価格の10倍にはなる、という。

日本のお花見弁当は世界でも売れるかもしれない?

 どんなに大規模化して効率化しても、農産物のまま輸出しようとすれば、世界水準の価格と競争しなければならない。ブランド化して高い値段で売ったとしても、日本国内での生産コストを吸収するのは容易ではない。しかも、それができるのは大規模化が可能な平野部の農家だけだというのである。


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