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2014年5月5日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 山間部の小規模農家の農産物でも十分に太刀打ちできるようにするには、おばあちゃんの伝統の味のように付加価値を乗せなければ採算が合わない。より高く売れる仕掛けづくりが大事だというわけだ。

 コストをできるだけ引き下げ、付加価値をより高くする。企業としては当たり前の発想を岡本氏は追求している。用水路の水でミニ水力発電をし、用水路に沿ってすでにある高規格の農道にトロリーバスを走らせ、観光客を呼び込んで、駅には直売所やレストランを作る。岡本氏のアイデアは膨らむが、現在の農地利用の規制では実現はおぼつかない。特区の枠組みを使って新しい挑戦をしたいというのである。

 そんな岡本氏に共鳴する自治体の首長も現れた。兵庫県の山間部にある養父(やぶ)市の広瀬栄市長だ。岡本氏と共に特区申請に乗り出した。全国一律の画一的な規制によってやりたいことができないのはおかしい。養父市に最もふさわしい制度運用をさせて欲しいという思いから、岡本氏と共同歩調を取ることにしたのだという。「これで国家戦略特区に指定しないなら、俺は日本を捨てる」とまで岡本氏は言う。

 農産物にいかに付加価値を乗せて輸出するか。実はこれは世界標準の戦略でもある。農水省はイタリアと日本を比較する資料をまとめている(表)。それによるとイタリアの農林水産物・食品輸出額(11年)は3兆4679億円(11年の為替レート)で、その43%をパスタやワイン、チーズ、オリーブオイルなどイタリア料理に欠かせない加工食品が占める。世界にイタリア料理が広がると共に、食材輸出も増えているというわけだ。一方でみそや醤油、日本酒など日本食関連食材は4000億円の輸出額の15%に過ぎない。

 世界で日本食はブームだ。レストランでの外食にとどまらず、家庭の日常の食事にも日本食が浸透していけば、食材輸出につながっていく。付加価値の高い農産品の輸出を増やそうと思えば、日本の文化やファッション、ブランドなどと共に売り込んでいく必要が出て来る。それを農協や農家だけにやれと言っても難しいだろう。様々な分野の人々が一緒になって日本の農業を盛り立て世界に売り出していく。そのためには岩盤規制の殻に閉じこもった農業からの脱皮が不可欠だろう。

◆WEDGE2014年4月号より









 

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