2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月8日

 イグネイシャスと言えば、CIAやペンタゴンの廊下を我が家のように歩き回り、誰にでも会える情報通であり、ここ十年間は大中東地域問題について、貴重な米国政府内部の情報を提供してきました。今回の上海の会議には、誰に随伴するのでもなく、独立の評論家として参加したようです。そして、中国の硬直ぶりに今更ながら驚いたということのようです。イグネイシャスのような影響力のあるジャーナリストが、アジアの情勢に新しい興味を持ってくれるのは良いことと思います。

 現在、中国では、大きな政策は党の統制下にあるとしても、尖閣付近の海警レベルのような活動では、出先はかなりの行動の自由を持つようであり、その行動に際しては、「寧左勿右」(左傾化した強硬な行動を以て良しとする)の傾向が強いように見えます。

 とすれば、尖閣周辺において、中国の海上警備船舶及び航空機が日本の領海に接近、侵入し、それに対抗する日本側の船舶、航空機に衝突ギリギリまでの行動を取るということは、今後とも起こり得ると考えねばなりません。

 つまり、ここでイグネイシャスが心配しているような戦争には至らないとしても、海上警察同士のレベルの衝突は今後とも起こることは覚悟しなければならず、要は、それが戦争にエスカレートしないようにする配慮工夫が必要だということです。

 日本も中国も海上保安能力を高めようとしています。今後しばらくは、両国とも正規の海空軍の衝突は避けて、海上保安当局同士の「擬似的戦争」とでも言うべきものを続けることになるのかもしれません。

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