リクルート企業は「自分だけの道」という幻想を抱かせながら、実際には「一本道」を「ゴールがあるものと信じ」させつつ、しかもその将来が全く見通せない不確定な道に若者を引きずり込んでしまっている。リクルートのCMが「胡散臭いもの」に見えてしまった理由は、ここにある。
「無間地獄」にはまる学生
若手の人材を適切な場所に配置することを旨とするはずのリクルート企業が、実は営利を優先するがゆえに人材配置のミスマッチを生む。これは私のまわりの学生たちを見ても明らかだ。優秀なのにどこからもお呼びがかからない。その一方で、ちょっと難ありなのに一流企業からサッと内定を取ってくる。
それはさながら博打のようでもある。こういった、利益のみを追求するがゆえに実質性を失い、旧態依然とした様式美だけがゾンビのように生き続けているような人材配置システムは「百害あって一利無し」である。早急に改められねばならない。
ネット上での適性診断→説明会参加・エントリー→入社試験→不採用→適性診断→説明会参加・エントリー→入社試験→不採用……
多くの就活学生が、この「無間地獄」に陥っている。いつまで経っても内定は出ない。「ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たらない」という悲惨な「様式美の循環」が続くのだ。
こういった現実を踏まえて「就活休み」という言葉も出現した。あまりにエントリーし、あまりに断られ続ければストレスの蓄積は並々ならぬものになる。さすがに疲弊し夏休みの頃になると1カ月くらい、一切就活をやめてしまうのだ。
しかし、現実は変わらない。仕方なく、あの奇っ怪な様式美の中に再び身を投じていく。そして、最後にはもうどうでもよくなり、適性などそっちのけで片っ端からエントリーを始めるのである。
で、なんとか幸運にもゲットできた就職先。ホッと一息というところになるのだけれど(ならない学生も多い)、冷静になった時、ふと思い返すのだ。
「なんで、この会社に、いくんだろう? 」
就活システムに振り回される若者の姿が、ここにある。