企業に入った人間を組織人として育て上げ、一方でその人たちに愛される、生きがい働きがいのある組織を作ることが、遠回しであってもストレス疾患の予防に着実につながると思います。そうした職場を作るのが私たちの仕事です。
また一方で、日本ほど個人の健康に対して組織が責任を負わされる国はないということも忘れてはいけないでしょう。社員が病気になれば会社に責任がある、と会社も社員も思い込んでいます。個人の健康は個人が守らなければならないというのが世界の標準です。
自分の健康を守る義務は自分にあり、それは自分の人生に対する責任とも言えます。そのことに気づいた社員に対し、企業が「それは個人の問題」と冷たく切り離すのではなく、そうした社員を組織が支援する姿勢を表明するべき。そうすれば社員は主体的な健康管理意識をもって働くということができるのでないでしょうか。
そのことこそが「メンタルヘルス対策」を越えた、より前向きな人を生かす経営ということになると私は思います。
[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか
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