2022年11月30日(水)

科学で斬るスポーツ

2014年5月7日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

 そこで開発されたのが、たんぱく質の材料となるアミノ酸をそのまま取り込むサプリメント。アミノ酸数千個からなるたんぱく質を、プロテイン食品として摂取しても体内で吸収するためには、一度、アミノ酸まで分解しなくてはならない。

 そのため、アミノ酸として摂取すれば、消化も早く、早くたんぱく質を欲しがる筋肉にその材料を届けられることになる。

競技後半の粘りは、炭水化物

 もう一つアスリートにとって大事なのは、筋肉を動かすエネルギー源。ごはん、うどん、パスタなど炭水化物(糖質)が担う。これら糖質は、競技当日に合わせた綿密な摂取計画が求められる。なぜなら、必要だからと言って普段から大量に摂取し過ぎると肥満につながり、糖質をとるタイミングを逃し、少なすぎると競技終盤のスタミナ切れ、バテにつながるからだ。スタミナ切れは、健康診断でおなじみの「血糖値」の低下が原因であることがわかっている。

 血糖値の低下をいかに防ぐか。長年、研究が進められ、試行錯誤の上、考案されたのが、「カーボ・ローディング」だ。カーボ・ローディングとは、炭水化物(カーボハイドレイト)を詰め込む(ローディング)という意味だ。

 食事として摂取した糖質は、通常の練習などのエネルギー源になるが、余剰分は肝臓、筋肉の中でグリコーゲンとして蓄えられる。血糖値が低くなると、このグリコーゲンが使われる。このグリコーゲンを効率よく、筋肉にためる手法がカーボ・ローディングと言える。

図1 2時間の練習を続けた場合、糖質(炭水化物)が少ない食事「低糖質食」の選手の筋肉中グリコーゲンは、どんどん減少。一方、しっかり糖質をとると、筋グリコーゲンは減らない。
(出所)『スポーツサイエンス入門』(丸善) 拡大画像表示

 カーボ・ローディングには、さまざまな手法があるが、競技1週間ほど前に一度、炭水化物の摂取を極力減らし、筋肉中のグリコーゲンを枯渇させるのが一般的。その反動を利用して、競技数日前から炭水化物を多く食べ、筋肉中のグリコーゲンを以前より増やす。マラソンやトライアスロン選手らが、パスタなど消化のよい炭水化物を競技前日に食べるのはそのためだ。

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