2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月22日

 確かに、「NGOの急増に対して、党が活動を容認する代わりにNGOに手綱をつけ、小規模かつ地方的存在に抑えることでジレンマを解決しようとしており、これは今のところ大体上手く行っている」という判断までは正確と言ってよいでしょう。つまり、共産党独裁体制は、ガス抜きとして、NGOをうまく活用しているということです。

 しかし、それ以降の議論は、実情から乖離した「べき論」であり、記事が言う「より強力な司法、人々の要求に敏感に反応する人民代表会議、独立した報道機関」など、その実現可能性は現状で全く想定できません。

 この種の、下からの自発的な動きをトレンドとして捉えて、その直線延長上に中国の将来を期待する情勢判断は、ほぼ確実に誤ると思います。古くは、百花斉放、百家争鳴を謳って、出て来た反政府的分子を一斉に弾圧した例もあります。

 どんな改革であっても、中国共産党の一党支配を揺るがすような改革は、決して認められることは無いでしょう。NGOは、本来、文字通り非政府機関の活動であり、それが政府の権威を侵すようになれば仮借のない弾圧が加えられることは、容易に予想されます。

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