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2014年5月22日

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中西輝政 (なかにし・てるまさ)

京都大学名誉教授

1947年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。ケンブリッジ大学大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院・人間環境学研究科教授。2012年4月より京都大学名誉教授に。専攻は国際政治学、国際関係史、文明史。近著に『日本の悲劇 怨念の政治家小沢一郎論』(PHP)がある。

 また、韓国で歴史問題に関してあえて日本の謝罪を求める発言をしたのも、オバマ氏個人の歴史観の表明というよりも、近年「経済」と「歴史」の両面から韓国が急速に中国に取り込まれているが、その結果、北東アジアの勢力均衡が崩れるのを何とか防ごうとする、米国大統領としての当然の行動と見た方が良い。たしかに中国への際立った融和姿勢をとるオバマ氏は「弱い米国大統領」の典型ではあるが、同時にオバマ政権の米国は水面下ではこれ以上の中国の海洋進出は明確に抑止する方向へと動いていることを忘れてはならないのである。

 いずれにせよ、我々はあと2年半、このオバマ大統領の下で、こうしたどっちつかずの微妙さをはらむ日米関係に“耐えて”いかねばならないのである。ただ、その「重圧」は今後、徐々にあるいは急速に、軽減されていくことと思う。そこでは次の2つのファクターに注目したい。

 1つは現下のウクライナ危機をめぐって激化する米欧とロシアの対立構造の中で、中国がいかなる立場をとるかということ。

 もう1つは崩れ始めた中国経済の成長軌道の行方をめぐって、今はまだ楽観論に立つ米国経済界の態度が今後どう変わるか。そしてそれによってオバマ政権の対中政策がどんな影響を受けるか、ということである。

 前者については、今後さらに激化していくだろう米欧とロシアの対立関係の中で、たとえ当面「漁夫の利」を求めても結局、中国は中長期的にはロシアの側に傾いていかざるを得ず、米欧との関係は遅かれ早かれ悪化せざるを得ない。

 後者についても、中国経済の不調や停滞は必ず米国の対中政策の再検討につながるはずだ。安倍政権の外交路線は、上述の諸点をしっかり押さえていけば、十分に明るい展望が期待できるのである。

◆WEDGE2014年6月号より









 

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