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2014年5月22日

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中西輝政 (なかにし・てるまさ)

京都大学名誉教授

英ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。専門は国際政治学、国際関係史。著書に『帝国としての中国―覇権の論理と現実』(東洋経済新報社)、『大英帝国衰亡史』(PHP研究所)など。

 しかしここで絶対に忘れてはならないことがある。中国の存在だ。中国は、尖閣の奪取というにとどまらず、東アジアでの自らの覇権を確立するために、常に日米同盟を無力化し有名無実化したいと狙っている。そのために日米の間に亀裂が入ることをなにより望んでいるのだ。

 今回のロシアによるクリミア併合問題に対して、もし日本が米欧の対ロ制裁と軌を一にせず、「独自の行動」を取れば、一気に中国にその隙を突かれてしまうだろう。ここは、日本としては「追随」と言われようとなんと言われようが、ロシア制裁という米欧の動きに協調して行動するしかないのである。

 日本はまずそうした協調行動をとり、その上で、「必要なら米欧とロシアの仲介はできます、対話で解決しましょう」と常に国際秩序の仲介者的役割を果たせるよう備えておけば良いのだ。いずれにせよ、日本は中国という存在を片時も忘れてはならないのである。

 4月の日米首脳会談において、オバマ氏は米国大統領として尖閣諸島に日米安保条約が適用されることを初めて明言したが、他方で安倍首相との共同記者会見においては中国に対する際立った融和姿勢をくり返し表明した。また、オバマ氏は今回のアジア歴訪では、一方でフィリピンとの間に米比軍事協定を締結し、南シナ海での海域支配に奔走する中国を牽制したが、他方韓国では「従軍慰安婦」問題で明確に韓国の主張を支持し日本に謝罪を要求した。

 日本の一部では、昨年来の安倍首相の靖国神社参拝をめぐる日米間のある種の行き違いも重ね合わせて、「日米間にすきま風が吹いている」とか、あるいは「米国はむしろ中国・韓国に傾き始めた」との見方も出ている。しかし、ここにも「米国問題」と「オバマ問題」との混同があると言わなければならない。

 尖閣への日米安保の適用や安倍政権の集団的自衛権行使への取り組みに支持を明言したオバマ氏の「踏み込み」は、22年ぶりにフィリピンへの米軍駐留(フィリピン憲法の建て前上、“巡回”との語を用いるが)を決断したことと合わせ、オバマ氏の個人的な立場を超えた、何としても「中国を抑止する」という、国家としての米国の明確な意思を世界に見せつけるものであった。

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