2024年12月12日(木)

復活のキーワード

2014年6月30日

 欧米には「タックス・ペイヤー」と「タックス・イーター」という言葉がある。前者は日本でも普通に使われるが、後者はあまり聞かない。税金を無駄遣いしている人と批判的に使うこともあるが、ここでは悪い意味には取らない。単に国家財政に「貢献している人」と「依存している人」と分けて考えてみる。

アメリカでは確定申告の締切日になると、保守派を中心に高い税金に抗議する風景が見られる 「TAX IS THEFT=税金は泥棒だ」
(写真・アフロ)

 政治家や公務員はどんなに良い仕事をして社会に貢献しても税金から給料をもらっている以上、「タックス・イーター」である。給与から税金を払っていると言うだろうが、元をたどれば税金である。年金生活者も広義の「タックス・イーター」だ。今まで保険料を払ってきたからもらうのは当然の権利だと言うだろうが、日本の年金は積立方式ではない。国が社会保障費を負担しなければ制度はもたないのだ。

 では、働いている人は全員が「タックス・ペイヤー」かというと必ずしもそうとは言えない。支払う税金よりも、行政から受けているサービスの方が多い人は「タックス・イーター」ということになる。もちろんひとりの人が「タックス・ペイヤー」と「タックス・イーター」の両面を持っているので、差し引きどちらかと考えるわけだが、「タックス・ペイヤー」より「タックス・イーター」が多いから借金がどんどん増えているとも言える。

 埼玉県の上田清司知事は、緻密なデータを駆使して行政刷新に取り組んでいることで知られる。例えば、県の一般会計予算(1兆6764億円)がどう賄われているかを県民数で割って示し、県税で賄っているのが8万4000円、借入金が4万7000円、地方交付税や国庫支出金が10万2000円と歳入構造を示す。一方で、県が支援する子育て支援は子どもひとり当たり5万4000円。さらに公立の小中学校の教育に関わる行政コスト3357億円を生徒数で割ると、ひとり当たり58万円になるという具体的な数字を県民に訴えている。つまり、どれだけの負担でどれだけの便益を得ているかを見える化しているのだ。


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